Kind's room

アニメの感想、考察など。

2017夏アニメ・格付け&総括

灼熱の時期に始まった今期アニメが、終わりを迎えたと思えば外も肌寒くなり、いよいよ来期に向けてアニメの衣替えをしなければならない季節がやってきました。

というわけで早く来期アニメに魂を移すためにも私が今期視聴した全24作品の格付けと作品ごとの総括をやっていきたいと思います。

 

格付けの定義としては、

金賞」:今期で最も総合的に優れた作品

銀賞」:金賞に次ぐ優れた作品

銅賞」:銀賞に次ぐ優れた作品

「技能賞」:脚本、演出、作画など随所に優れた技術を発揮した作品

敢闘賞」:全体的に安定して高い完成度を誇った作品

殊勲賞」:個人的に強いインパクトが残った作品

「選外」:惜しくも入賞を逃した作品

優勝」:今期で最もエンターテイメント性に優れた作品

といった感じで独断と偏見で決めています。

 

それでは早速【金賞】から発表していきます。

 

 

金賞

メイドインアビス

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業界屈指の豪華スタッフ陣により生み出された今期の「覇権」と呼ぶにふさわしい作品でしょう。深夜アニメのレベルを超えた映像美や丁寧に構築された世界観など、とにかく純度100%のファンタジー作品として完成度が高かったです。探窟家の宿命である二度と戻れない旅を"憧れ"や"ロマン"でひたすら突き進む冒険ストーリーも毎回ワクワクさせられました。決して包み隠すことなく視覚にダイレクトに訴えかけるようなグロシーン、それに聴覚に突き刺さるような声優陣の気迫の演技が世界観やストーリーを盛り立てる素晴らしい働きをしており、世界観に身を任せて「アニメーションの魅力」にじっくり浸れる貴重な体験をさせていただきました。間違いなく今年度屈指の傑作だったと思います。

 

 

銀賞(2作品)

プリンセス・プリンシパル

私の観測範囲内では今期最も人気のある作品でした。一話一話のクオリティは間違いなく今期屈指のレベルを誇り、百合成分配合の人間ドラマやド派手なアクションなど「スパイらしくない要素」で上手くアニメ映えしてた印象を受けました。個々のエピソードを重視するあまり本筋が薄くなってた(掴みづらかった)感はありますが、「2人のプリンセス」を主軸としたストーリーは"尊い"と言わざるを得ないほど完成度が高く、売り上げ次第では2期やる気満々だと言わんばかりの布石の残し方も好感持てました。オリジナルアニメとしては近年稀に見る傑作だったと思います。

 

僕のヒーローアカデミア

「職業体験」「vsステイン」「期末試験」の3本構成で今期も最高に熱くさせられました。体育祭一本で毎週のように熱いバトルが繰り広げられた1クール目よりはどうしても勢いは劣ってしまいますが、職業体験で各々のステップアップを描き、ステイン編でヒーロー観を改めつつ、期末試験でそれらの成果を示すという丁寧な構成で見応え充分でした。全体的に先日決まった第3期への1クールかけた「盛大な前振り」という印象を受けつつも、ステイン編の第30話を筆頭に一点突破の破壊的な面白さは健在。主人公のデクだけでなく他のヒーローたちにも満遍なく焦点当てているのが2期の特徴で、それが面白さを加速させている気もします。早く3期が待ち遠しいですね。

 

 

銅賞(2作品)

『ナイツ&マジック』

個人的には今期最大のダークホース。話がナレーションでサクサク進む分ストーリーや設定が把握できない部分もありましたが、それでも序盤の異世界転生要素を消し去るほどとにかくメカアクション一本に絞った真っ直ぐ爽快な作風で本当に楽しめました。常に新しさを追求するエル君の革新的な性格がそのまま物語を突き動かしてて見やすかったですね。そんなエル君を作品の象徴的存在にしつつキッド君やディー先輩やエレオノーラ様にエル君にはない"主人公感"を出させたことでより盤石の体制になった印象を受けます。迫力満点のダイナミックなメカアクションはそりゃもう「男のロマン」ってやつを掻き立てられましたし、今期最も高揚感を得られた作品だと思います。

 

サクラクエスト

1クール目は「面白い」と思える決定打にかけてどこかパッとしなかったんですが、2クール目は18話の教授の話を境に面白くなった印象。発展や活性化を中心に描いた1クール目に対し、維持や保存といった部分に焦点を当てたことでストーリーに現実味が増して、より見応えも生まれたと思います。ギスギスした展開が少なくなった分だけ本筋に安心して入り込めましたし、二話構成の起承転結で綺麗に纏まったストーリーも素晴らしく、何より間野山の町おこしと由乃たち5人の成長を連動させつつ両方とも"等身大"に描ききったのも良かったですね。

 

 

【技能賞】(3作品)

天使の3P!

気弱な少女たちと少年の成長を描いた"優しさ"が奏でるストーリーに時に感動し、一定の需要を的確に撃ち抜く犯罪スレスレの内容で時に笑ったりと、とにかくメリハリの効いた作風が良かったと思います。バンド要素をおまけではなく"軸"にしてたのも好印象で、楽曲や演奏シーンのクオリティも常に高いものがありました。この作品を通して自分の人生に足りないのはcv.日高里菜ツンデレでブラコンな妹なんだと気付かされましたね。

 

ゲーマーズ!

「青春錯綜系ラブコメ」の名に恥じぬ男女のすれ違いコントは毎度ながら芸術的で面白く、それを終始一貫させながらも飽きさせないストーリーの見せ方が上手かったと思います。主人公の雨野くんにあまり好感持てなかったり終盤のシリアス展開でちょっとブレーキかかった印象もありましたが全体的に見れば良作の類だと思います。何よりメインヒロイン天道花憐ちゃんが可愛かった。

 

賭ケグルイ

「美少女賭博譚」の美少女要素が感じられないほど"狂気"を徹底した作風で面白かったです。ギャンブルが題材だけあって常に張り詰めた独特の雰囲気や、狂気を助長させるようなケレン味溢れる演出、そして声優陣の迫真の演技などがこの常軌を逸した世界観に引きずり込んでくれました。ゲーム自体もオリジナルかつシンプルなものが多かったですが、その分だけ頭脳戦や心理戦の部分が強調されて見やすかったと思います。

 

 

【敢闘賞】(5作品)

NEW GAME!!

1期よりシビアな作風になったことで社畜アニメに拍車がかかりましたが、青葉のゲーム制作に対する姿勢が"夢"から"目標"に変わるなどとにかく「成長」をテーマとしたストーリーで、各々の"STEP by STEP"で進む成長模様も丁寧で見応えありました。新キャラの登場で新たな風を吹かせつつ既存のキャラクターを更に魅力的に描いたのも好印象(主に飯島ゆんさん)。欲を言えばもう少し日常風景を見たかったですが。

 

ようこそ実力至上主義の教室へ

ストーリー自体は腑に落ちないというか色々ガバガバな点が否めなくて正直それほど面白い印象は抱けなかったんですが、それでも落ちこぼれ達の下克上ってのはやはり見てるだけでも胸が高鳴るものですね。オタクなので作品全体に纏われる"厨二"全開の雰囲気も堪りませんでした。いつになっても綾小路みたいな主人公に惹かれてしまいます。

 

魔法陣グルグル

‪ひたすらノリと勢いのコメディ寄りファンタジーなんですが流石は往年の名作のリメイクだけあって安心感が違いました。もう1クール残してるとは思えない程の詰め込み具合で、間延びの"ま"の字も感じさせないほどサクサク進む冒険譚が見てて楽しかったです。2クール目もククリちゃんの可愛さに癒されたい。あとグルグルのラジオで原作者がわざわざ一般の投稿フォームからふつおた送ってきた話好き。

異世界食堂

夕飯のお供に丁度いいアニメオブジイヤー。「ねこや」の落ち着いた空間と店主の優しさで圧倒的に癒されつつ、毎回変わる主人公の饒舌な食レポで惹きつけるという飯テロの醍醐味も存分に味わえたと思います。あくまでも主役は店主ではないので仕方ないんですが、飯テロアニメとして見るならば調理シーンをもっと描いて欲しかったなとは思います。可愛い女の子のおはだけシーンもあれば尚良かったですね(それは来期)

 

アクションヒロイン チアフルーツ

やはり『TBS×ローカルもの×伊藤美来』の組み合わせは素晴らしい。ご当地ヒロインを題材にした緩い雰囲気の中にしっかりヒロイン達の成長譚を描いた"情熱的"なストーリーで毎回胸を熱くさせられました。チアフルーツによる劇中劇が素直にクオリティ高くて面白かったり、隙あらばパロディを盛り込んだりなど楽しめる要素も多かった印象です。ディオメディアの高いポテンシャルを再確認できるような良作でした。

 

 

【殊勲賞】(2作品)

はじめてのギャル

中学生のようなノリで展開されるラブコメに程よい安心感を抱きつつ、下ネタ&ロリコンなどの不健全要素とシンプルで王道の恋愛要素のバランスも良くて非常に楽しめました。八女さんを愛でるだけでなく負けヒロインズも魅力的に描いてたのが好印象で、当初は薄ら寒く感じてた男子組パートをいつの間にか純粋に楽しめてたのも大きいですね。原作ではモブ同然だったらしいDTトリオをアニメ化においてメインキャラに昇格させた判断が功を奏した印象です。

 

ノラと皇女と野良猫ハート

ショートアニメから唯一の入賞。初回の火災保険のオチでいきなりグイッと掴まれ、3話の肘確回でもう大好きになりました。謎の実写回だったりクイズ回だったりロボ回だったりとにかく何でもありな感じで終始面白く、終わってみれば5分アニメとは思えないほど満足感に満ちていました。「太平洋」と「肘が確定する」は今年の個人的流行語大賞に早くもノミネート。

 

【選外】(8作品)

恋と嘘

‪登場人物みんなが優しすぎる故に自分の気持ちに"嘘"を付き続ける毒気のない恋愛模様と、キスシーン等を濃厚にがっつり描く姿勢のギャップなんかは良かったと思います。ただどうも自分好みじゃなかったというか、とにかく真田莉々奈ちゃんの可愛さぐらいしか印象に残りませんでした。エロ漫画の導入みたいな設定から始まりエロ漫画のお手本のような3Pエンドで締める紛うことなきエロアニメでしたね。

 

セントールの悩み

異種間による平凡な日常系としてはもちろん、その陰からどことなく漂う"社会派"な雰囲気や"道徳的"な内容で他の日常系とは一線を画した作風が見応えあり、その日常に潜んだダークな面を一度爆発させた9話は特に印象深かったです。突拍子もなくどエロい描写挟んだり百合をガンガンぶっ飛ばしたりなどとにかく前衛的な作品だったと思います。ただ正直、今期で30分が最も長く感じた作品でもありました。

 

バトルガール ハイスクール

この系統の王道を行く丁寧なストーリー展開でしっかりシリアスに踏み込むところなんかも良かったですし、6話のギャグ全振り回や8話の日常回、9話の文化祭回のような息抜き回は特に面白かったです。ただ同じような題材の『スクールガールストライカーズ』を既に体験してしまってる以上、どうしても狂気とか空気感とかインパクトを求めてしまい満足感が得られませんでした。スクストの罪は重い。

 

18if

異世界スマホがクソアニメならこちらは「糞アニメ」でしょう。監督や脚本、作画監督などが毎回変わり、一話完結で毎週全く異なるテイストの話が繰り広げられるため見てて飽きることはありませんでした。ただ各回の監督が好き勝手に独自のワールドを展開するため見事に毎回別アニメ状態となり、もはや「公共の電波を使った実験」でしたが、そういう前衛的で恐れを知らない自由な作風が魅力でもありました。我こそはクソアニメ愛好家だという方は是非9話だけでもご覧になって下さい。責任は一切とりません。

 

アホガール

序盤は純粋に笑えましたがずっとあのノリだと流石にキツイぜよしこ...。ただ赤髪ギャルちゃんや隅野さやかちゃんが作品のいい清涼剤を果たしていたとは思います。

 

徒然チルドレン

本当に個人的な意見なんですが、「夫婦漫才カップル」と「吹奏楽×サッカー部カップル」があまり好きじゃなかったのでその2組に焦点が当たり続けた終盤が残念でした。ざーさんのキャラもっと出さんかい!!!!

 

捏造トラップ-NTR-

刺激の強い作風だけに10分でライトに楽しめたのは良かったと思います。尺の都合上仕方ないにしても最後の落とし方が強引に感じたのは残念でしたが、毎回女の子同士のイチャイチャが目の保養になってたので終始楽しめました。とりあえず武田はどっかで報われてくれ。

 

クリオネの灯り

いじめや病気など苦難を背負ったみのりちゃんが小さな幸せを見つけて健気に生きる姿がとても印象的だったんですが、最終的に「一生消えない後悔がいじめの代償」を伝えるだけの舞台装置に感じてしまい残念。なんというか小学校の道徳の教材みたいな作品でした。

 

 

優勝

異世界はスマートフォンとともに。

今期最高のエンターテイメント。いろんな意味で話題になりましたが私は充分すぎるほど楽しませてもらいました。薄味で安っぽい本編はひたすらストレスフリーかつノンカロリーで味わえる"優しさ"があり、一定の層のニーズに真摯に応えてくれるその姿勢には"愛着"しか湧きません。萌豚枠としても個人的には今期一番強かったと思いますし、ラストの各ヒロインの魅力を最大限に引き出したハーレムエンドなんて「優勝」以外の言葉ではとても言い表せないレベルの完膚なきまでの優勝でした。何より『純情エモーショナル』とかいう神曲を生み出したのが優勝。

 

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今期アニメを牽引していたのは終始『メイドインアビス』『プリンセス・プリンシパル』の二作だった気がします。あとは『サクラクエスト』の2クール目からの健闘や『ナイツ&マジック』の終盤の怒涛の追い上げなんかも光りました。『僕のヒーローアカデミア』や『NEW GAME!!』など続編モノのクオリティは安定して高く、『ゲーマーズ!』や『天使の3P!』など萌豚の心を刺激してくる作品も多かった印象です。あと最後まで我が道を貫いた『異世界はスマートフォンとともに。』の功績も2017夏アニメを語る上では欠かせないですね。前期とは対照的に今期は新作が上位をほとんど占めるなど全体的に満足度の高いクールでした。
魔法陣グルグル』は私が視聴していたなかから唯一秋アニメに参戦する作品なので、2017夏アニメのプライドを背負って頑張ってきて欲しいですね。