Kind's room

アニメの感想、考察など。

2017秋アニメ・エピソード10選

私が今期で視聴した全19作品223エピソード(※)の中から特に良かったと思うエピソードをランキング形式で発表していきます。

明確な選考基準はありませんが、純粋な面白さやインパクトの強さ、単純な好みなどを総合的に見たうえで順位を付けました。

それでは早速10位からどうぞ。
(※)総集編及びショートアニメを除く。

 

 

10位   宝石の国 9話「春」

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個人的にはこのエピソードで作品に対する評価がかなり上がりました。今までは無邪気で楽観的だった主人公・フォスが、アンタークを目の前で失って心変わりし、自らの個性と記憶を代償に急成長を遂げる展開がとても良かったです。失った仲間の面影を受け継いで強キャラと化す点では少年漫画のような熱さを感じられますが、その反面「自分の意志で成長した」というより「自責の念から受動的に成長した」というのも何とも言えないエモさがありました。こういう熱さと不穏が入り混じる展開のなかでも日常パートが安定して面白かったのはこの作品の強みだったのではないかと思います。

 

 

9位 血界戦線 & BEYOND 10話「BRATATAT MOM」

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 凄腕スナイパーK・Kさんの母親としての一面がひたすら愛おしいエピソード。ミッション決行当日が次男の授業参観日に重なったと思えば、多額の投資で作らせた遠隔操作式狙撃システムでミッションをこなしつつ授業に参加するほどの息子への溺愛っぷりが、普段のカッコいい仕事人の姿とのギャップもあって可愛かったです。戦っていた敵も実は息子の同級生の父親で、そんな屈強な2人も愛する家族には敵わないというハートフルな内容と、運命に切り離されてもSNSで繋がっているという現代チックなオチが最高でした。熱いバトル回もいいですがこういう回も血界戦線の魅力だと思いますね。

 

 

8位 いぬやしき 6話「2chの人たち」

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 ハエのように群がるマスコミや蛆虫のように湧く2ちゃんねらーを大虐殺していく話が面白くないわけがない。獅子神の今までの行いが母親の自殺という”悲劇”となって帰ってくるのは当然の報いではありますが、悲しみに打ちひしがれる姿は大量殺人鬼でなく一人の高校生という感じで印象的でした。そして最愛の人を死に追い込んだ人たちへの容赦ない復讐劇は見てて爽快でしたし、守るべきものを失った彼のリミッターが完全に開放されたことでストーリーの面白さも加速しました。あまりにも獅子神無双すぎて犬屋敷と安堂が日常パート担当みたいになってたのも面白かったです。

 

 

 7位 ラブライブ!サンシャイン!!2期 4話「ダイヤさんと呼ばないで」

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 個人的にサンシャイン2期に対しては1期のときに抱いていたような”熱”が完全に冷め切っていたんですが、この回を機に再び楽しめるようになりました。無印の先輩禁止回を彷彿とさせる話で、同じ3年の果南と鞠莉が下級生たちと自然に距離を縮めているのを見て、不器用ながらも自らの”硬い”部分を打ち砕いていこうとするダイヤさんがひたすら可愛かったです。結局皆を支えるお姉さん役に落ち着きつつも、日ごろの感謝を込めた特別の「ダイヤちゃん」呼びで締める落とし方も心温まりました。完全なギャグ回ではありましたが、この作品の魅力が一番発揮された回だったと思います。

 

 

6位 食戟のソーマ 餐ノ皿 8話「錬金術師(アルキミスタ)」

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3期で一番の盛り上がりを見せたのはやはり叡山先輩との食戟だったと思います。セントラルの陰謀により、遠月のアイデンティともいえる食戟が意味を成さなくなる横暴な展開の中で、一人果敢に立ち向かう創真が過去最高に主人公の風格を漂わせていました。無謀さえひっくり返す展開はいつ見ても爽快で、今回はそれを「極星寮全員で掴み取った勝利」として描いたのが最高に熱かったです。久々の食戟だけあり料理描写がしっかりしてた分いつも以上に飯テロ度が高かったのと、煽り耐性ゼロの叡山先輩の顔芸も相まって文句なしの神回でした。

 

 

5位 キノの旅 3話「迷惑な国」

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「移動する国」というコンセプトの面白さもさることながら、ストーリーの深さも印象的なエピソード。自然環境をことごとく破壊して進む国が”迷惑”として描かれつつも、被害者と思われた城壁の国も平原をわざと封鎖して高い通行料をふんだくる”迷惑”な国であった訳で、この2つの迷惑を「悪気の有無」で分け、最終的にどんな人間もある程度他人に迷惑を掛けながら存在していることを訴えかけたのがエモかったです。また、キノの本来の目的は「城壁の国を超えた別の国に渡ること」であり、高い交通料を取られないための”手段”として移動する国を利用したという真相も思わず唸ってしまいました。ラストのしっとり余韻が残るようなエピローグも味わい深く、上質なエピソードが多い本作の中でも特にお気に入りの話でした。

 

 

 4位 このはな綺譚 6話「此花亭怪談」

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笑いあり涙ありという『このはな綺譚』の強みが最も現れたエピソードだったと思います。仲居たちが怪談をしていたところに本物のお化けが迷い込み、主にレズ方面で掻き乱していくAパートは爆笑必至で、いつも以上に発情しまくりの蓮とポンコツを露呈するほどビビりまくりの皐がひたすら可愛かったです。原作者の「ごちそうさま」も印象的でした。一方、柚と比丘尼様の師弟愛が描かれるBパートは感動必至で、比丘尼様から受けた愛情を元に此花亭で咲き誇った柚が、今度は桜のように「人々の心を癒し慰める存在」として、悩める人々を救っている現在の姿に改めて天使っぷりを感じるような話でした。柚が救ったのが悪霊で危うく三途の川を渡りかけたという怪談らしいオチも良かったですね。

 

 

3位 いぬやしき 11話「地球の人たち」

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 終盤は常に熱く感動的だった本作の中から、物語のクライマックスとなった第11話を選出。前までは家族から疎外されていた犬屋敷が、家族から必要とされ、一家団欒を楽しんでいる様子だけでも感慨深いものがあり、地球の危機に立ち向かい最後まで正義を貫いた姿には心打たれました。同じく駆け付けた獅子神も、今まで何千何万もの命を平気で奪ってきたにも関わらず、愛する2人から突き放されたとしても逆恨みするどころか、そのたった2つの命を守るため自ら犠牲の道を選んでしまうのが、犬屋敷とは対極の「もう一人の主人公」って感じで最後に卑怯なカッコ良さを遺していった印象です。隕石の話が尺の都合上駆け足になってしまったのは惜しいですが、それでも、一度は正反対の道を歩んだ2人の機械が「愛する人を守る」という目的で最期に同じ運命を迎えた展開に、今期一番の”熱さ”を感じたエピソードでした。

 

 

 2位 Just Because! 7話「Snow Day」

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 後半戦から怒涛の盛り上がりを見せた本作の中で、物語の転機となった第7話を選出。小宮の泉に対する認識が「写真使用を承諾して欲しい人」から「好きな人」へと変貌を遂げ、今までの天真爛漫な性格が抜け落ちたと同時に、じわじわと”恋心”を自覚していく様子からヒロインとしての風格が漂い始めました。一方の夏目は、センター試験の直前に泉に助けられたことで、昔も同じように自分を支えてくれていた泉を意識せざるを得なくなり、小宮の宣戦布告によって中学時代は答えまで辿り着けなかった”恋心”に一歩近づいた、そんな心情が読み取れる「...ダメ」という台詞が印象的でした。6話までスローペースで丁寧に描いてきた分、各々の心情変化も自然に受け止められたと思います。また恋愛に消極的だった泉が、この回では2人のヒロインを助ける主人公らしい行動力を見せ、今まであやふやだった三角関係の構図を完成させたのも良かったですね。

 

 

1位 このはな綺譚 8話「かりそめの訪客」

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 このエピソードは今期全体の中でもずば抜けて神回だったと思います。柚が持ち前の豊かな感受性で、悩める少女の"嘘つき"な性格を"創造力"に変換し、少女に「将来の夢」を与えて現世へと送り出したAパートだけでも充分いい話なんですが、ここからのBパートが本当の神回たる所以でした。家族と離れ離れになり家出をしてきたカイト君と、事故に遭い現実世界で視力を失ったオッさんという、一度は人生で立ち止まってしまった2人が此花亭で出会いを果たし、互いが「家族」について熱く語り合い共鳴した後、晴れやかな気持ちで別れを告げますが、数奇な運命の巡り合わせにより現実世界での「家族」として今度は"二人三脚"で再び歩き始めた展開に感動せざるを得ませんでした。途中まで演出上少年の姿をしていたカイト君が実は盲導犬で、両親と思ってた人達はパピーウォーカー(盲導犬を育成するため一時的に家族として迎え入れるボランティア)だったという叙述トリックも上手く作用し、なおかつAパートの嘘付き少女がBパートのオッさんの娘という粋な真相まで用意されており、思わず感嘆のため息を洩らしてしまうほど完成度の高いエピソードでした。もう年間通しての神回オブジイヤーでいいと思います。

 

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 というわけで2017年秋アニメ・エピソード部門第1位は、このはな綺譚第8話「かりそめの訪客」という結果になりました。
また、惜しくもランク外でしたが、
キノの旅 10話「優しい国」
ラブライブ!サンシャイン!!2期 5話「犬を拾う」
このはな綺譚 11話「神様の休日」
つうかあ 8話「Engage」
アニメガタリズ 2話「ツドエ、アニメガタリズ
あたりも好きでした。