Kind's room

アニメの感想、考察など。

2018冬アニメ・エピソード10選

私が今期で視聴した全17作品201エピソード(※)の中から、特に良かったと思うエピソードをランキング形式で発表していきたいと思う。

明確な評価基準はないが、純粋な面白さやインパクトの強さ、単純な好みなどを総合的に見た上で自分のさじ加減で選考している。

それでは早速10位から

(※)総集編及びショートアニメは除く。

 

 

10位 メルヘン・メドヘン 5話「さよなら、私の魔法」

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‪何かとネガティブな話題ばかり目につく本作だが、ストーリーに関しては結構好きなところはある。特に5話に関しては今期全体の中でも強い高揚感を得られた。魔法が解けたように現実逃避から目覚め、母の形見であるドレスだけを身に付けて「自分の物語」を作りに行く葉月の姿が、過去最高に主人公でありメインヒロインだったこのエピソード。本家シンデレラとは真逆で背中を押す優しい継母と頼れる姉、そして粋な計らいでヘクセンナハトに送り出す学園長に後押しされ、今まで逃げてばかりだった自分と決別した葉月の一連の成長潭は印象深く、常識や契約なんて知ったこっちゃねえと言わんばかりのシンデレラの改変っぷりは痛快だった。ただ、葉月はやはり妄想過多コミュ障ぼっち少女のときが一番可愛い。‬


9位 ゆるキャン△ 7話「湖畔の夜とキャンプの人々」

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‪本作最大の尊さを観測した、なでしことリンの2人による四尾連湖キャンプ回。タラ鍋に焼肉にジャンバラヤなど飯テロが破壊力抜群でキャンプ飯のロマンを感じたし、それらを美味しそうに食べるなでしこを見ているだけでこちらも幸せを感じた。お財布事情に敏感で料理上手ななでしこと、なでしこの屈託のない笑顔を見守るリンの関係性が完全に夫婦で、一緒のテントで朝を迎えるシーンは「尊い」以外の言葉が出てこない。また、こういうシーンでも露骨にベタベタしないのが良くて、お化けが怖くてリンと一緒に寝たかったなでしこが一度は拒まれるも、朝目覚めたら当のリンが同じテントで寝てて思わず「うへへ」ってなる、こういった飾らない百合が本作の魅力の一つだと感じた。本当に飯食って他愛もない話するだけの回だったが、「これぞゆるキャン△」という感じの満足感を得られた。‬


8位 宇宙よりも遠い場所 9話「南極恋物語(ブリザード編)」

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‪よりもい屈指の名言である「ざまぁみろ」のエピソード。本作は南極青春グラフィティと銘打って、主にキマリたち4人に焦点を当ててきたが、この回は乗組員の全員が主人公だったと言ってもいいのではないだろうか。馬鹿にされながらも氷を打ち砕くように何度も挑戦を繰り返し、不可能を可能にしてきた先人たちから、形をそのままに受け継がれてきた意志が全員の「ざまぁみろ」に集約されていて爽快極まりなかった。報瀬の「馬鹿にする奴らを見返したい」という熱い意志は、ペンギン饅頭号の乗組員全員はもちろん、敗戦国として肩身の狭い立場に置かれた日本の意地を見せつけた当時の「同じ場所を目指した仲間」にまで遡れるという、壮大なストーリーと熱いメッセージ性も印象的だった。‬


7位 刀使ノ巫女 11話「月下の閃き」

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‪燕結芽ショックの当該回。恐らく現役刀使最強同士であろう、結芽と可奈美の直接対決が実現し、『S装備の稼働時間』と『生命的な活動時間』という互いに制限がかかっていた状態のなか、その短時間で互いを"相手"と認識して楽しみあった様子は「もっと見てたい」とさえ思うほど惹きつけられた。これが最初で最後になったとは...。自分の強さを焼き付けるため、自分のことを覚えててもらうために最後まで「自分の力」だけを証明し、病気という十字架を背負いながらも運命に抗い続け、最期まで強くあり続けたという結芽の生き様には心打たれた。舞衣を筆頭としたチームワークや親衛隊との熱い剣戟、高津学長のヒステリック劇場など本作の中でも一番見どころ満載の回だったと思う。‬


6位 citrus 6話「out of love」

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citrusは個人的に今期で最もハマった作品だが、その中でも中盤あたりが特に好きだった。父親の件を一人で抱え込む臆病な芽衣を、柚子が持ち前の行動力と姉としての思いやりで背中を押すストーリーも本作らしい熱さを感じられたし、それを少し大袈裟ながらもドラマチックに描いてたのが何より好印象。最高のアシストを決めたはるみん(ヒロイン10選の記事で詳しく記述)、自転車走行シーンなどのケレン味の効いた演出、ベタな物語を盛り立てる劇伴など、こういうストーリーの盛り上げ方が本作は秀逸だった。そして柚子が「姉としての責務」を果たした後に芽衣と交わしたキスが、姉妹以上の意味合いを持つようになったというのは"姉妹百合"でしか体現できない離れ業だと思った。‬


5位 スロウスタート 7話「ぐるぐるのてくび」

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‪正直なところ、このエピソードを見るまで本作に対する個人的評価は低かったが、この回から一気に好きになった。栄依子と榎並先生による、他の登場人物とは一線を画したアダルトな百合空間は眼福でしかなく、『生徒×教師』というただでさえ背徳的なシチュエーションが女同士で行われているその事実だけでも悶えざるを得なかった。拘束プレイなんてcitrusですらやってなかったぞ。普段は付け入る隙のない完璧な栄依子が、クールビューティな榎並先生の時だけ年相応の乙女な部分が現れるのも最高に可愛い。永遠とこの2人の掛け合いを見ていたくなるような幸福感を得られたし、本作における百合ポテンシャルを遺憾なく発揮した文句なしの神回だったと思う。‬


4位 宇宙よりも遠い場所 12話「宇宙よりも遠い場所

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‪思わずブログに考察記事を書いてしまったほど、一つ一つのシーンに深い意味が込められたエピソード。南極に初めて降り立った報瀬が最初に言い放った「ざまぁみろ」は爽快極まりなかったが、母親に会いにいくためにはるばるやって来たことを念頭に置くと、その台詞が最初に出てきたことには多少の違和感はあった。その違和感が解消されたという意味でも、そして脚本の狙いをしっかり理解できたという意味でもこの回は非常に印象深い。普通に報瀬が「南極に辿り着いた瞬間、母に対する想いが込み上げてきて母の死を実感した」という流れでもさほど違和感はなかっただろう。しかし本作の脚本の深さというのは目を見張るものがあり、報瀬を「母と同じ場所に行くこと」だけで満足させず、「母がここに居た証を見つけ、ここに居ないことを実感すること」で初めて報瀬の夢を醒まさせたことに、そしてそのストーリーの深さに思わず感嘆のため息が漏れた。細かい内容は考察記事でも触れているので割愛するが、このエピソードはとにかく深くて、初見時は報瀬の心境を全て理解できなかった。そこで彼女の心境に寄り添うべく筆をとったことで個人的にこの回は「神回」に成り上がった。‬


3位 宇宙よりも遠い場所 13話「きっとまた旅に出る」

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‪このエピソード単体でももちろん素晴らしかったが、1クールの物語の集大成として纏め方が完璧だったという意味合いが大きい。南極青春グラフィティの最後に相応しい爽やかな雰囲気で終始進められ、この湿っぽくない感じが、悩みや葛藤を解消しきった彼女たちの晴れやかな心境を体現してるようで良かった。この最終回で特筆すべき点は3つ。まず1つ目は、前回で母親の死を初めて受け入れた報瀬について。野球シーンでの母の姿を彷彿とさせる特大ホームランをかっ飛ばすシーンや、母と同じ長さに髪をバッサリ切るシーンは、彼女がかつて同じ場所に居た母としっかり向き合ったことが伺えたし、「大量の未読メールが入ったパソコン」と「母に会いに行くための100万円」を南極に置いてきたのは、彼女の強い"ケジメ"が感じられて良かった。そして母のパソコンから送信された、オーロラの写真が添付されたメールの「本物はこの一万倍綺麗だよ」に対する「知ってる」という台詞は、紛れもなく彼女が母に囚われることなく一歩踏み出したことの証だった。次に2つ目は、日本に帰国後の空港のシーンでキマリが言った「一緒に居られなくても一緒に居られる、だって私たちはもう私たちだもん」という台詞について。この哲学的な台詞の真意は"私たち"である彼女たち4人にしか分からないだろう。しかし、宇宙よりも遠い場所で絆を深めた「この4人」にとっては、別の場所で別の時間を過ごしていてもそれは「新たな旅の出発点にみんなで向かっている」ことに過ぎず、彼女たちの旅はこれからも続いていくから別れなんてない、という『ここから、ここから』の精神を感じさせて‬印象深かった。‪そして3つ目、なんと言ってもめぐっちゃん大サプライズである。自分のことを差し置いて一歩踏み出したキマリに対する嫌悪感、何よりそんな自分に対する嫌悪感から絶交まで申し出たあのめぐっちゃんが、キマリの居ない世界に一人取り残されたのかと思わせておいて、キマリの居ない世界に一人で「一歩踏み出してた」というオチが最高すぎた。しかも「キマリから一番遠い場所」である北極を選択するあたりが、彼女のいい意味での性格の悪さと対抗心が感じられて好き‬だった。物語の集大成としてこれ以上ない素晴らしいエピソードで、爽やかな雰囲気を醸しつつも涙が止まらないミスマッチな感覚がとても心地良かった。


2位 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 10話「愛する人はずっと見守っている」

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‪挿話のクオリティが高い本作の中でも、このエピソードは群を抜いて心に響くものがあった。こういう「未来から手紙が届く系」のエピソードは『四月は君の嘘』などを経験してるだけあってか絶対泣いてしまう。言動は普段通り淡々としつつも、アンから母親との残された貴重な時間を奪ってしまう罪悪感に駆られ、込み上げてくる感情を堪えていたヴァイオレットが、最後に流した涙は非常に感慨深いものがあった。この前の話数で少佐の死を初めて受け入れたからこそ、今回のテーマである「愛する人はずっと見守っている」というメッセージは胸を打つものがあり、同じく前回の話数で「届かなくてもいい手紙なんてない」ことを身に染みたからこそ、母親の"遺したい想い"の強さをより感じられて切なくなった。残された時間の中で娘に伝えきれない想い、そして50年後まで娘に伝えたい想いを手紙に乗せて未来から送るという、母親の粋な行動には心打たれたし、これを「見守っている」と表現するのがなんとも素敵。最初から結末が確定していたド直球感動エピソードでありながら、「母との別れ」「亡き母からの手紙」「ヴァイオレットの涙」という泣きどころ三段構え構成、アンと母親の儚くも美しい親子愛、京アニの見せ方の巧さなども相俟ってめっちゃ泣いてしまった。‬


1位 宇宙よりも遠い場所 11話「ドラム缶でぶっ飛ばせ!」

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‪よりもいは全話素晴らしかったが、個人的に一番刺さったのは間違いなくこの回だった。日向が「悪い意味での起用さ」で今まで心の内に閉じ込めてきた葛藤を、報瀬が「良い意味での不器用さ」で強引に引っ張り出してぶっ飛ばす、という流れがとにかく最高なエピソード。日向の南極に行くという決断は、傍から見れば「辛い過去から逃げた」ともとれるが、それを「前向きな一歩を踏み出した」という確固たるものにしたという意味でも、報瀬が日向の元友人たちにぶつけた言葉は重く、日向の心に大きく響いたんだと思う。6話のパスポート紛失回でも、報瀬が日向を救うという似たような構図が展開され、この時は「迷惑をかけたくない」「空気を読む」という日向のネガティブな友達観を変えたが、日向自身は報瀬の情の厚さに感極まったものの泣くまでには至らなかった。しかし今回は日向の友達観が歪むきっかけだった、普段の笑顔の裏に隠されていた過去の闇からも救ったことで流石の日向も泣かずにはいられず、見ている私も号泣せざるを得なかった。第1話冒頭のモノローグで「淀んだ水が溜まっている。それが一気に流れていくのが好きだった。淀みの中で蓄えた力が爆発して、全てが動き出す────」というキマリの台詞があるが、まさに日向の涙はこれを象徴していたのではないだろうか。日向が心の内で溜めていた葛藤を解放し、その溢れ出た涙とともに一気に心が浄化されていく様子は今期最大のカタルシスを感じられた。日向の葛藤を「過去のトラウマ」という概念だけで済まさず、しっかりと最後まで向き合った脚本も素晴らしく、何より加害者側となあなあで和解したりなんかせずに「ざけんなよ」の一言でスパッと関係を断ち切ったことに関しては本当に天晴れ。こういう他のアニメでは絶対味わえないような爽快感こそ、よりもいの真骨頂だと感じた。今回のエピソードのメインはあくまでも報瀬と日向だが、察しは悪いけど大事なところで熱くなれるキマリ、察しは良いけどあえて一歩引ける結月の活躍もあり、最終的に「一緒に一歩を踏み出した仲間である"この4人"の友情」として描いてたのがとても良かった。‬

 

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というわけで2018年冬アニメ・エピソード部門第1位は、宇宙よりも遠い場所 11話「ドラム缶でかっ飛ばせ!」という結果に。今期はとにかく『よりもい』が強かった。

また、今回惜しくもランクインはしなかったが、
ゆるキャン△ 12話「ふじさんとゆるキャンガール」
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 4話「君は道具でなく、その名が似合う人になるんだ」
宇宙よりも遠い場所 5話「Dear my friend
刀使ノ巫女 5話「山狩りの夜」
ラーメン大好き小泉さん 9話「山/豚野郎/背脂」

あたりも好きだった。