あなたは最近誰かに応援してもらっているだろうか。
辛いときに背中を押してくれる存在はいるだろうか。
私はそんな人の心当たりなんて全くないが、今日も人知れずどこかで応援してくれているであろう「あの4人」のことを思い出す時はたまにある。具体的には月に1回。
2015年に放送されたオリジナルTVアニメ『ローリング☆ガールズ』は、特別な才能を持たない普通の少女4人が、何かでっかいことを成し遂げようとする人たちを「モブ」の立場から応援していき、全国各地の「平和」を守っていく行き当たりばったり青春ロードムービーであり、主題歌や挿入歌がTHE BLUE HEARTSのカバーだったことでもおなじみだ。
そんな放送終了して4年が経った『ロリガ』だが、公式ツイッターが未だに稼働しているのはご存じだろうか。お決まりの画像に、お決まりの台詞に、お決まりのタイミングで一言ツイートする。ただそれだけのことを4年近く繰り返しているのだが、それを毎月楽しみにしている「モブ」たちが全国にはたくさんいるらしい。
ちなみに、「月初めに呟くこと」「〇月もガンバレ!の形式にすること」以外に、特に規則性はない。年号が変わったりなど一大イベントがある月に関しては0時台に呟くのだが、特にイベントがない月に関しては朝の9時や10時台など、朝起きてからでもいいやというノリで呟いていると推測できる月もある。こういうところは人間味を感じられて好き。
そんなロリガ公式の、転がり続ける私たちを応援する「ガンバレ!」ツイートの変遷を見て、ロリガという作品がどのように我々「モブ」の心に留まっているのかを分析していきたい。ロリガのアニメ自体の魅力については、また機会があれば筆を執りたい。
産声をあげる(2015/8/16)
明日もガンバレ! #ロリガ pic.twitter.com/p4nF57PppJ
— ローリング☆ガールズ (@therollinggirls) August 16, 2015
放送終了して4カ月後という謎のタイミングでロリガ公式の「ガンバレ!」ツイートは始まった。当初は「明日もガンバレ!」であった。投稿時間も「8月16日」の「21時54分」と、規則性もクソもありゃしない。しかし、この投稿が、その後約4年も続く、そしてこれからも続いていくことになるであろう人気企画の産声になるとは誰が予想しただろうか。
「〇月もガンバレ!」の形で月1の恒例行事に(2016/6/7)
6月もガンバレ! #ロリガ pic.twitter.com/VR3PAkwFwS
— ローリング☆ガールズ (@therollinggirls) June 7, 2016
一度2016年3月に「〇月もガンバレ!」の形で投稿しているが、その後は「今日も負けずにガンバレ!」「明日もガンバレ!」と続くので、月1の恒例になり始めたのは2016年6月からとなる。
空白の期間(2017/7~8)
2017年7月と8月に関しては遡ってもツイートが出てこなかった。中の人が夏季休暇中だったのかもしれない。
お前・・・消えるのか?(2018/9/1)
「ローリング☆ガールズ」という作品が、いつまでも誰かを応援し続けられますように。9月もガンバレ! #ロリガ pic.twitter.com/gcN9wBivAY
— ローリング☆ガールズ (@therollinggirls) August 31, 2018
この頃には既にロリガ公式のガンバレ!ツイートを毎月の楽しみにしている人は数多くいたはずだ。それだけに、いつもとは文章も画像も違った2018年9月の投稿は不穏を感じさせた。
完全に「(これが最後の呟きになりますが、)」という枕詞がある前提の内容である。サービス終了予定のソシャゲじゃないんだから。そうか、放送終了から3年半も経ってるもんな、よく続けてくれた方だよ、長い間お疲れさん、といった労いムード(一種の諦めムード)まで漂っていたが、翌月、何事もなかったかのように生存報告。思わせぶりである。サービス終了予定のソシャゲに謝れ。
初の2,000RT突破(2018/12/1)
12月になりました。来月で「ローリング☆ガールズ」の放送から4年が経ちます。2018年も最後までガンバレ! #ロリガ pic.twitter.com/sksJy8vqB0
— ローリング☆ガールズ (@therollinggirls) November 30, 2018
放送終了から3年と9カ月。これだけの期間が経てば、普通はアニメの公式アカウントなんて耕作放棄地もいいところであるが、毎月人々を応援し、地道にガンバレ!の種を撒いてきたロリガ公式は、遅咲きの花を咲かせることになった。
そしてこちらが初投稿の2015年8月から現在2019年6月に至るまでのツイートの伸びをグラフにして表したものである。
『ローリング☆ガールズ』が、噛めば噛むほど味が出る、時間が経てば経つほど人々に愛される、所謂「スルメ作品」であることの証明と言っていいのではないか。
ロリガ公式に対する声明
ガンバレ!ってずっと応援してくれるロリガに心が温かくなる!2月も一緒に頑張っていこう╰(*´︶`*)╯
— 日高里菜 (@hidaka_rina0615) February 1, 2018
結論から言うと、ロリガ公式がコンスタントに今こうやって1,000RT以上を叩き出すようになっているのは、出演していた声優陣の影響が大きい。先述した2018年3月からの1,000RT超え継続記録に関しても、日高里菜さんが初めてロリガ公式に言及した翌月からの出来事なので、日高さん効果は特に大きかったと思われる。
今月の内にやっぱり呟こうと思い...
— 花守ゆみり (@hanayumi09) January 30, 2019
4年を迎えた今も、彼女たちに励まされる時があります。
転がり続けるのは痛いかも知れないけれど、転がった道にはとても素敵な出会いが沢山転がっていたはず!
今日までいっぱい頑張った!
明日もガンバレ!! https://t.co/Zu6v0EpDaV
辛いことがあったときはこの花守ゆみりさんのツイートを見返すようにしている。「今日までいっぱい頑張った!明日もガンバレ!!」のところが特に胸アツ。
小澤亜李『時が経っても愛してる』
— ローリング☆ガールズ (@therollinggirls) May 1, 2019
⇒ https://t.co/xT4xDcpHt6 #アメブロ @ameba_officialさんから
そしてこの小澤亜李さんのブログを読んだりして元気をもらっている。ちなみにこれは小澤さんのロリガ愛が伝わってくる名文なのでぜひ一度読んで欲しい。
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毎月1日の「〇月もガンバレ!」を継続してきた結果、恐らく放送していた時期よりも公式ツイッターの影響力が大きくなっている。この規模のコンテンツで、ここまで話題が継続しているのも稀有なケースだろう。
正直言って、『ローリング☆ガールズ』はそれほど人気の高い作品とは言い難い。2015年冬クールに放送された1クールのオリジナルアニメであるロリガだが、その時期は『SHIROBAKO』『四月は君の嘘』といった傑作の存在感が大きく、話題としては埋もれがちだった。公式アカウントのフォロワーも1万6千人と、ハッキリ言って「普通」である。そんな「普通」の作品が、放送終了後から4年経ってもしぶとく転がり続け、今なお多くのモブたちに愛されている。ファンはもちろん、スタッフ・出演者からこんなに愛されている作品も珍しいのではないだろうか。
そんなロリガが発信する 「普通」の呟きによって、ちょっと元気づけられたり、それが毎月の生きる糧になっている人が、どこかにいるのは紛れもない事実だろう。
「普通が世界を救う!?」
その本作のキャッチコピーは、現実世界におけるロリガの功績を表しているのかもしれない。