2016年秋に『ろんぐらいだぁす!』というアニメに出会って以来ロードバイクが趣味になった私ですが、今回はそんな『ろんぐらいだぁす!』最終回の舞台となったしまなみ海道(尾道〜今治)に人生初の一人サイクリング旅として行って来ました。
全長約75kmのしまなみ海道を1日で走破するのはロードバイク初心者かつ運動音痴の自分にはやや厳しいかと思ってましたが、ツイッターで「コミケに行くために愛知〜東京間をママチャリで走破した人」が居ると聞いて謎の対抗心が芽生えたので1日で走破することにしました(全く対抗できてはいない)。
以下しまなみサイクリング珍道中の模様をダイジェストでお送りします。
1日目
自宅にて朝5時に起床。夏休みの夜更かし癖が治らず結局睡眠時間3時間という最悪のコンディションで朝を迎える。天気も悪いし「もういっそ行かなくていいかな」なんて邪念が芽生えるもそれををなんとか振り払いつつ家を出る。
愛車のロードバイクを地元の駅から輪行して、新幹線の中でアニラジを聴いてたらあっという間に新尾道駅に到着。後輪が綺麗にハマらなかったりチェーンが外れたりと初心者丸出しの組み立てだったが、慣れない手つきでなんとか自力で走れる状態に。この時点で汗だくだく。
午前9時16分、気温27度の微妙な暑さのなか出発。
新尾道駅から3kmほど離れた尾道港のフェリー乗り場へ行き、そこからフェリーで向島へ渡る。ここからしまなみ海道のスタート。
海沿いのしまなみ海道を走っていると唐突にろんぐらいだぁす!OP曲の『♡km/h』を歌いたくなってきた。
「晴れ渡る空♪ 君の住む街へ〜♪潮〜風に乗って♪」
ちなみにこの日のしまなみ海道、どこを見渡しても曇りな上に風も吹いてないのでひたすら蒸し暑かった。
向島に渡って30分ほど走ると早速しまなみ海道1本目の橋『因島大橋』が現れる。晴れてたら絶対いい景色だった。
因島大橋を渡り、コンビニで10分ほどの休憩をとり再びペダルを漕ぎ始める。しかし何か違和感があるというか妙に軽快に走れるというか、とにかく"おかしい"感覚に陥る。それもそのはず、休憩時に下ろしてたリュックをコンビニに放置したままだったのだ。自分の顔がこの日の瀬戸内海より青ざめる。財布や貴重品全てを積んだリュックが無くなってしまえば楽しいしまなみ海道サイクリングコースも予想外の瀬戸内海永住コースである。そんな不安に襲われつつも急いで道中を引き返し、無事リュックを回収。幸先悪いスタートとなった。
そうこうしてるうちに2本目の橋『生口橋』が現れる。晴れてたら多分いい景色だった。
生口橋を渡り20分ほど走って残り50km、つまり3分の1を消化したことになる。ただしまなみ海道は以外とアップダウンが激しく、しかも橋を渡る際は長い長い坂を登らなければならないのでこの時点で既にヘトヘト状態。
少しでも涼しく走るため、カッコつけるために着用してたアームカバーを脱ぎ捨てる。日焼け防止も何も日が出てないので普通にクソ暑いだけである。
気分を切り替えて再び出発!と思っていたが道中になんだか見覚えのある店を発見。
そこは『ろんぐらいだぁす!』最終回に登場したジェラート屋「ドルチェ本店」だった。しゃかりきにペダル回した後だったし立ち寄ることに。頼んだのはバニラ&瀬戸田レモンの2種盛り(¥380)。右側の瀬戸田レモンのシャーベットがめっちゃ美味かったので生口島へ来た際は是非ご賞味あれ。
糖分をチャージしたところでこのまま一気に次の島まで行くぞ!と意気込んでいたらまたしても道中に見覚えのある光景が。
そこは『ろんぐらいだぁす!』最終回で主人公・倉田亜美ちゃんがグレーチングで滑って転倒した場所だった。聖地巡礼旅行みたいになっているが決してそんなつもりはなかったんですマジで。
道草食ってると今治のホテルのチェックイン時間(16時)に間に合わなくなるので急いでペダルを漕ぐ。20分ほど進むと3本目の橋『多々羅大橋』が姿を現わす。いい加減晴れろ。
ここでまたしてもろんぐらいだぁす!OP曲『♡km/h』を歌いたくなってきた。
「全速力であの橋を渡り〜♪ ねぇ 1秒でも 早く♪」
1秒でも早くゴールに辿り着きたいのはやまやまだが全速力で橋を渡る元気は早くも失っている。
多々羅大橋の中央は県境になっており、ここでようやく愛媛県に突入。この時点で新尾道駅から漕ぎ始めて既に3時間半が経過。少し遅いがまあまあのペースだろう。
多々羅大橋渡ってすぐのサイクリストの聖地碑で記念撮影。
少しの休憩を入れて再び出発。15分ほど漕ぐと4本目の橋『大三島橋』が現れる。もう景色とかどうでもいいから早くホテルに着きたい。
大三島橋を渡ったあたりから疲れが麻痺してきて異様に元気になったので快調にロードバイクを進める。そして5本目の橋『伯方・大島大橋』が現れる。この時点で13時40分。16時のホテルの時間を少し気にし始める。
伯方・大島大橋を渡ったあたりからどっと疲れが押し寄せる。それもそのはず、途中適度な休憩は挟んでいたが昼食は全く摂っていなかった。だが残す橋はあと一つ。このまま一気に走りきって今治で腹いっぱいメシ食うぞ!と意気込んでいたが...
残す橋はあと一つなのに無情にも残り20kmの表示が。膝から崩れ落ちる。もうメシを食べる元気すらない。おうち帰りたい...
普段から運動しない人間なので脚も既に限界に近い。しかしペダルを漕がなければいつまで経ってもゴールに辿り着かない。
何度もくじけそうになったが、そんな時は決まってろんぐらいだぁす!OP曲『♡km/h』を歌って元気を出す。
「その瞬間を 想像したら〜♪ 胸の鼓動 爆発しそうなの〜♪ 早く逢いたい♪」
自分が無事ゴールの今治に辿り着くのかを想像したら心配で胸の鼓動が爆発しそうになるが、とりあえずホテルの受付嬢さんに早く逢って部屋の鍵を貰いたい。そんな想いが込み上げてくる。
そして絶望的な20kmの表示から走ること約1時間、ついに最後の橋である『来島海峡大橋』を渡りきる。写真では分かりづらいがこの橋は全長4,105mあるので本当にキツかった。
来島海峡大橋を渡ってゴールと思いきやしまなみ海道のゴールは今治の市街地。橋から約5km離れている。相当疲れてたのかここからの記憶はあまりないが、とりあえずろんぐらいだぁす!OP曲『♡km/h』を歌っておこう。
「この心に 生えた〜翼で♪ 見たい〜景色が あるんだ〜♪」
心に生えた翼ってなんだ。見たい景色も何も終始曇ってて景色どころではなかった。
「いつも〜君が♪ 待っててくれる〜♪ 僕ら〜だけの 約束のその場所まで〜〜〜♪ あと少し♪」
ホテルの受付嬢さんが待ってくれているので、約束のその場所であるホテルまであと少し頑張ろうという気持ちになったことにしておこう。
15時26分、ついにゴールと思われる今治市街地に到着。ゴールの標識とかは特に無かったので達成感もクソも無かったがもうゴールでいいだろう。
スタートである新尾道駅を出発してから実に6時間12分、走行距離は82kmだった。運動音痴なオタクにしては頑張った方だと思う。
ホテルにチェックインしてすぐシャワーを浴びた後近くにあるラーメン屋で今治要素が全くないラーメンを食べた。疲れた身体に豚骨スープが染み渡る。
ホテルのテレビのチャンネルにあった「成人向け有料放送」がめっちゃ気になりつつも、明日には今来た道を帰らなければならないので無駄な体力を消費する訳にはいかない。それに今日はすごい疲れたので早めに就寝することに。激動の1日目を終えた。
2日目
雨予報である。恐れていたがやっぱり雨予報である。そういえば『ろんぐらいだぁす!』最終回でも2日目に雨が降っていたがそんな粋な演出誰も望んでないのである。
さすがに雨の中辛い思いをしてまで昨日走ってきた道のりを戻るのはアホらしい。というわけで渡船を駆使して尾道まで戻ることにした。今日の目標は「1秒でも早く家に帰ろう」だ。
午前9時12分出発。ホテルにチェックアウト後、すぐ近くの今治港へ向かった。ちなみに今治〜尾道までの直通の船はなく、面倒だが途中の因島で乗り換えなければならない。この辺がちょっと不便だ。
船の出発時間が来たので今治港から因島の土生港行の船に乗船しようとするが、ここで少々ヘマをやらかしてしまう。昨日乗った尾道〜向島間の渡船は船内での支払いだったので今治〜土生間も同様かと思いきや、ここでは乗船前にあらかじめ乗船券を買うシステムだったらしく、それを出発2分前に気付く。ちなみに乗船券の券売機は乗船場から300mくらい離れている。そしてこの船を乗り過ごすと次の船は3時間後。自分の顔がこの日の瀬戸内海より青ざめる。
慌てて乗船券を買って乗船場に戻る。出発時間が1分過ぎていたが船長さんのご好意で待ってもらっていた。本当にありがとうございます。そして申し訳ございませんでした...
この日も幸先悪いスタートとなったが船に乗ってしまえばこっちのもの。自分が昨日必死こいて来た道があっという間に戻されていく光景をなんとも言えない気持ちで見守りつつ、1時間ほど船に揺られて因島の土生港に到着。
しかし土生港から尾道までの船はなく、土生港から10km離れた同じ因島の重井東港まで自走で行かなければならない。本当に不便だ。
文句を垂れ流しつつ重井東港に到着。しかしどこにも尾道行の表示が見当たらない。それもそのはず、そこは重井東港ではなく重井港だった。天然ドジっ子属性の発動である(かわいい)
なんて冗談言ってる場合ではない。重井港にいる現在の時刻は11時30分。重井東港から尾道行が出るのは11時41分。現在いる重井港から重井東港までは2km。ちなみにこれを乗り過ごすと次の船は約2時間後。自分の顔がこの日の瀬戸内海より青ざめる。
急いで重井東港へロードバイクを走らせる。昨日の筋肉痛が残っていたがもう無我夢中で走った。そして重井東港に到着。時刻は11時35分。これだけ煽っておいてなんだが今思えばそれほど急ぐ必要はなかった。
無事重井東港からの船に乗り尾道港へ到着。しかし予報通り既に結構な量の雨が降っていた。この雨のなか今いる尾道港から3km離れた新尾道駅まで自走しなければならない。気分がこの日の瀬戸内海よりブルーになる。
しかしこの日の目標は「1秒でも早く家に帰ろう」だ。雨が止むのを待ってる暇なんてない。用意してたウィンドブレーカーとリュック用のレインカバーを装備しいざ新尾道駅へ。しかし走り出して数分後、悲劇が待ち受けていた......
チェーンが外れているのがお分かりに頂けるだろう。そうなぜなら雨でツルツルになったグレーチング(金属製の側溝蓋)に滑って盛大に転倒してしまったからだ。奇遇にも先ほどの伏線回収のような形になるが『ろんぐらいだぁす!』最終回でも主人公の倉田亜美ちゃんが突然の雨に対応しきれずグレーチングで滑って転倒していた。だからそんな粋な演出誰も望んでないのである。
転倒した際に胸部と左キ◯タマを強打して10分ぐらい道端でうずくまっていた。通行人の方に「大丈夫?」と心配していただいたので笑顔で「大丈夫です!」と答える。丈夫な人間は胸部とキ◯タマ打ったぐらいで悶絶しないのである。
※ここで怪我した胸部は1週間経った今でも大きなアザが残ってて少し痛みますがキ◯タマの方は本当に大丈夫なので安心してください。
痛みが少し引き、雨も弱まったところでチェーンを治して再び出発。この2日間で最も安全運転を心がけた。そして12時35分、ついにゴールの新尾道駅に到着。2日間の総走行距離は102kmだった。天気さえ良ければもっと走りたかったな...
新幹線まで少し時間があったので駅近くのラーメン屋で尾道ラーメンを堪能。シンプルな味付けにも関わらずスープのコクがクセになる一品で本当に美味しかった。これで600円と安価なのもポイント高い。
そんなこんなで2日間に渡るしまなみサイクリング珍道中は終了。楽しい観光サイクリング旅行というよりは苦しい強化トレーニング合宿といった印象だった。終始天候に恵まれずハプニングも満載だったが、お盆シーズン直撃にも関わらず新幹線が空いてたのが不幸中の幸いであろう。
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当初思い描いていた楽しい自転車旅行とはかけ離れたものになってしまいましたが、初心者ながらも一サイクリストとして1人で自転車旅行を成功させたのはいい経験になったと思います。 ただ1人で走ってるとどうしても孤独感に襲われるので、次ここに来るときまでには頑張って大学でロードバイク友達を作って一緒に走りたいものですね。そのためにまずは普通に話す友達を作るとこから始めないと......