Kind's room

アニメの感想、考察など。

『ガールズ&パンツァー 最終章』第2話 感想

ガールズ&パンツァー 最終章』第1話の公開から待つこと1年と6カ月、待望の第2話が先日公開された。

 ガルパンは個人的に好きなアニメのTOP5には絶対食い込んでくるほど好きな作品で、劇場版がやってた頃は10回ぐらい映画館に足を運んだ。もっとも、その当時の「熱」を今も保てているかと聞かれたら正直怪しい。ただ、最終章の話数を重ねるにつれて徐々にではあるが、その「熱」を取り戻しつつあると感じる。

(※)以下、ガールズ&パンツァー 最終章 第2話に関するネタバレを含む。

 

 

続・BC自由学園

最終章第1話で大洗女子学園を窮地に追い込んだBC自由学園。どうやらケンカは演技だった(?)ようである。

相手のだまし討ちに先制パンチを喰らった大洗だが、優花里のBCに対する疑念と、沙織の発したヒントにより、みほのアイデアが生まれて勝利への糸口をつかむ。

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ガールズ&パンツァー 最終章』第2話 本編冒頭映像 より

ボカージュで待機していたBCだったが、忍び込んだカモさんチームの戦車の形状がBCと酷似していたこと、加えて外部生とエスカレーター組の仲違いが残っていることを活かして、大洗は意図的に「自滅」を引き起こさせる。相変わらず相手の弱みに付け込んだゲスい作戦を立てる辺りに西住みほらしさを感じる。マリーはボカージュを「宮殿の裏庭みたいなもの」と称していたが、皮肉にも裏庭から忍び込んだ侵入者によって宮殿の平和を壊されることとなった。

 

ケレン味の効いた演出

「敵は大洗ではない、身内だ!」という安藤の言葉が表すように、味方同士での殲滅戦という大会の趣旨とはかけ離れた展開になっていたが、それを止めたのは隊長のマリー。安藤隊と押田隊が正面衝突する直前に二両の間に割って入り、事態を収束させる。

二両の砲塔部分によりマリーの頭部が挟まれそうになったシーンでヒヤッとした人も多いのではないだろうか。のちの「アリ地獄」でのそど子のジャンプでかわすところといい、第2話はこういうケレン味の効いた演出が光っていたように感じる。

 

終・BC自由学園

大学選抜チームでおなじみアズミ先輩も評するように、BCは連携さえとれれば強いのは明白。仲間割れの危機を脱した後は、謎歌とともに反撃を開始。大洗の戦車を悠々と倒していく。もはやBC勝利の流れのようにも思われたが、やはり統率力の面で勝る大洗が、最後はフラッグ車であるマリー隊の身動きを封じゲームセット。大洗にとっては苦しんだものの、盤石の1回戦突破と言っていいだろう。

最終章で初登場となったBC自由学園はみんないいキャラしていたし、押田と安藤の痴話喧嘩も最高に面白かった。あと「ややっ」みたいな共通の口癖かわいかった。

 

ボコミュージアム

個人的には劇場版の「陽動だ、させておけ」という台詞が印象に残っている島田愛里寿ちゃんが、(オタク的な意味で)同志であるみほと一緒に登場。ボコミュージアムはリニューアルしても狂気の沙汰だった。

愛里寿の編入先は大洗かも?とつい期待していたが、愛里寿は「みほさんとまた対戦したい」と、あくまでも編入先に大洗は眼中にない様子だった。まぁ確かにこの2人は敵同士の方が映えるだろう。でも開催中の無限軌道杯で最終章は終わりそうなので、2人の対戦を我々が拝めることはもう...

 

川嶋桃は勉強ができない

本編前のおさらいを見て「ああそんな話だったっけな...」と思い出したレベルの川嶋桃留年危機問題。今回はその背景が描かれていた。

アニメでよく描かれる貧乏で子だくさんな家庭は、その長女(長男)が勉強めっちゃ頑張っているイメージなのだが、川嶋桃の場合は弟や妹たちの世話に追われて勉強ができない。いや確かにそうだよなとなってしまった。普通にバカな奴だと思ってて申し訳なくなった。

 

無限軌道杯・他校の活躍

俺たちの知っている逸見エリカじゃない黒森峰、「乾杯」と言いつつ“完勝”している聖グロ、口を開けば名言と無茶ぶりのミカさん率いる継続、相変わらずナオミさんの遠距離砲撃がヤバいサンダース、お前らだけ会場どこで試合やってんだプラウダ、今日もアンチョビがかわいいアンツィオ、突撃してこない知波単(それって知波単なのか?)など、結局というかベスト8の顔触れはいつもの面々となった。

コアラの森学園と青師団高校はちょっと優遇されていたが、尺さえ許せばもう少し見たかった。主に青師団高校のドスケベデザイン制服をな!

 

知波単学園

ヒルさんチーム(バレー部)のたらし焼きの「自由で一通りじゃない」食べ方からヒントを得た福田。脳筋突撃軍団の影の司令塔として暗躍する。

序盤は知波単が優勢。「足踏み突撃」「サヨナラ突撃」「遠隔突撃」「歌謡突撃」「のんびり突撃」などのパターンを駆使した突撃(それって突撃なのか?)で大洗を苦しめる。池のシーンでは、劇場版でも登場したアヒルを被せた隠れ身の術を使い、大洗のフラッグ車を四方八方から囲む策略で相手を追い込むなど、明らかな成長を見せた。持ち前の機動力に加えて「一歩引くこと」を覚えた知波単は相当に厄介である。

 

「我々のようなやぶれかぶれの突撃」

ごきげんよう突撃」で池から一旦離脱するシーンで、追いかけてくる大洗に対して言い放った西さんの「我々のようなやぶれかぶれの突撃ではあるまいし」という台詞。一応やぶれかぶれという自覚はあったんすね...

もちろん大洗がやぶれかぶれの突撃をするわけもなく、それは大雨でぬかるんだ泥濘地へ誘導するための罠だった。時を少し戻して、カモさんチームが同じような地形の場所にハマって抜け出せなくなった所謂「アリ地獄」のシーンで、その光景を見たみほは「何かに使えそう」と言っていたが、ここから知波単を陥れるアイデアを思い付いたのだろう。相変わらず相手の特徴に付け込んだゲスい作戦を立てる辺りにみほらしさを感じる。

 

撤退

劇場版の観覧車のシーンを彷彿とさせるような万事休すに陥った知波単だったが、ここで西さんがついにあの言葉を発する。「転進」ではなく「撤退」と。

敵に背を向けるなど今までの知波単では考えられなかったが、西さんは勝利のための「撤退」を選択した。試合前にみほと交わした約束をしっかり守った。脳筋突撃軍団が変革を迎えた瞬間であった。

私たちの戦いはこれからだ!と言わんばかりの知波単の「撤退」で第2話は幕を下ろした。もしかするとガルパンの中でも指折りの名シーンになったのではないだろうか。

 

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最高のストーリーと圧倒的なクオリティでファンを楽しませてくれる、もはやガルパンでしか出せないような安心感と安定感は健在。

水島努監督は同じく続編を担当する『SHIROBAKO』に注力しているだろうし、今後も長期スパンを強いられることは確定路線なのだろう。もっとも、幾多の「待機命令」を乗り越えてきたガルパンのファン、もといアクタスのオタクなら、これぐらいの事態は想定しているはず。来たる第3話に向けて、気長に「のんびり突撃」とでもいきたい。