Kind's room

アニメの感想、考察など。

2020冬アニメ・格付け&総括

20年代の幕開けを告げた2020冬アニメも、いろんな困難と混乱がありながらも無事に終幕。普通に新作アニメが毎週放送されている事実に改めて感謝しなければいけないと思った。

こんな世の中でいま自分にできること。それは、不要不急の外出を避けて、家でたくさんアニメを見て感想を書くこと。いつもと変わらないな。

 

今期の視聴本数は最終的に「17」本。今回も格付け形式で纏めていきたい。

 

格付けの基準としては、

金賞】:今期で総合的に最も優れた作品
銀賞】:金賞に次ぐ優れた作品
銅賞】:銀賞に次ぐ優れた作品
技能賞】:脚本、演出、作画など技術面で光った作品
敢闘賞】:全体的に安定して高い満足度を誇った作品
殊勲賞】:個人的に強いインパクトが残った作品
【選外】:惜しくも入賞を逃した作品
優勝】:今期で最もエンターテイメント性に優れた作品(今回は該当作品なし)

といった感じで独断偏見さじ加減で決めている。

それでは早速【金賞】から。

 

 

 

金賞2作品)

『推しが武道館いってくれたら死ぬ』

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今期最推しにして最高のアニメ。放送前から期待値は高かったけど、その期待を全く裏切ることない面白さで、ストーリー,作画,楽曲など全てにおいて高いクオリティだった。

推し武道には主に三つの見方があった。一つ目はコメディとして。主人公・えりぴよは強烈なキャラクターで存在そのものが面白かったし、本作をコメディたらしめたのはファイルーズあいさんの熱演があってこそ。また、オタクのリアルな生態を描いたコメディとしても、ChamJamサイドの何気ない日常風景も面白かった。

二つ目はアイドル作品として。当初はあくまでも舞菜とえりぴよがメインの作品だと認識してたから、ChamJamというアイドルグループに、そしてメンバー個人にがっつりスポットが当たってたのはいい意味で意外だった。「武道館へ行く」という目標がChamだけでなく、彼女たちを応援するオタクと一緒に二人三脚で成し遂げるものとして描かれていたのも熱い。ライブシーンが手書き作画だったのも、アイドルものとしての魅力に華を添えていた。

三つ目は何と言っても百合作品として。舞菜を"推し"として熱狂的に愛し続けるえりぴよと、アイドルとファンという関係を超えた"つながり"を求める舞菜。不器用な二人による、少し切なくて最高に尊い関係は、やはり本作最大の魅力だったように思う。あとは二人だけのシーンになった途端にラブロマンスが始まる「まきゆめ」もエロエモかった。

可愛い尊い面白いの三拍子が揃った、見ていて幸せになれるアニメだった。最終話視聴後に即原作買った。アニメ2期も来て欲しい。

 

ちはやふる3 (2クール目)

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前期は惜しくも銀賞だったけど、今期はそれを超える圧倒的な面白さ。シリーズ6クール目は貫禄の金賞となった。

個人的な話、2クール目に突入してから新作を優先するあまり話数を溜めてしまい、最後にまとめて一気見する形をとった。でも結果的にそれが功を奏したと思う。特に名人・クイーン戦は、試合展開が途切れることなく最大限に楽しめた気がする。

その名人・クイーン戦は、若宮詩暢と周防久志の"本気"が見れたのだから贅沢極まりない。ラスボス二人に黒星を付けた猪熊さんと原田先生の戦いぶりも熱かった。原田先生は完全に勝ったと思ったけど...

あとは何と言っても少女漫画(そういえば少女漫画だったな)らしく、恋愛方面にも大きく動きがあったりと見どころ満載。ついにここまで来たかという感じ。この熱が冷めないうちに4期きて欲しい。

 

 

銀賞3作品)

ダーウィンズゲーム』

作風的にどうしてもチープになりがちなデスゲーム作品のなかでも、ストーリー性とエンタメ性を両立した優等生アニメ。デスゲーム特有の緊張感やワクワク感に加え、異能バトルアクションとしての楽しさもあって鬼に金棒だった。常にツッコミどころは多々あったけど、ストーリーがめっちゃ面白ければ細かい粗なんて"無い"も同然なんだなと思わされた。

あとは主人公・カナメのカッコ良さ。当初はごく平凡な主人公という印象だったが、類稀なる戦闘センスや闘争本能、クランを強化するマネジメント能力など、シギルさえ"余力"と扱うほどの強キャラっぷりが回を重ねるごとに露わになっていくのは興奮した。続きも気になるので原作買おうかな。

 

『22/7』

個人的には今期最大のダークホース。秋元康の息のかかったコンテンツなんて絶対好きになってたまるかと思ってたのに、蓋を開けてみればめっちゃ自分好みのアニメでなんか悔しい。

‪アイドルグループとしての成長過程は結構すっ飛ばされ、正直見応えに欠ける部分もあったが、その分だけ8人分の個別エピソードは総じて高いクオリティで描かれていた。キャラクターの成長よりも「どういう人物なのか」にフォーカスした脚本は、アイドルアニメとしては新鮮なやり方で印象的。個人的には、5話の河野都回、7話の戸田ジュン回、11話の斎藤ニコル回がお気に入り。

少女たちのリアルな姿を描くことに徹していたわりには、壁の存在そのものだったり、7話の集団食中毒の件だったりなど、要所要所でハッタリかまして「アニメらしく」仕上げていたのも良かった。

 

BanG Dream! 3rd Season』

アニメしか追ってないから偉そうなこと言えないけど、それでも3期までくると自然に作品への愛着は強くなってくるもので。最終話は少し涙腺が緩んでしまった。

3期の主役はRASことRAISE A SUILENだったように感じる。六花への電撃オファーから正式加入までを描いた序盤、そしてRASがバンドとしての絆を深めた終盤のエピソードは特に光るものがあった。

青春と音楽・絆の物語・純情と情熱のバンドリに入ってきた、鳴り物入りのエリート集団であるRASを快く受け入れるのは正直難しかった(楽曲は素晴らしいけど)。そんなRASと視聴者を繋いだという意味で、朝日六花の存在は大きかった。ロックがマスキを筆頭にメンバー達と親しくなり、RASのいろんな顔を引き出していくことによって、自然とバンド自体にも愛着が湧いていった気がする。

あとはMV作成回や最終話の武道館ライブなど、映像のクオリティがとにかく高い。アニメーションでこれだけ魅せられるんだからバンドリは本当に強い。これからコンテンツとして更に拡大するだろうし、これは満を辞して僕もガルパを始めるしかないか......?

 

 

銅賞2作品)

SHOW BY ROCK!!ましゅまいれっしゅ!!』

今期最優秀カップル賞「ほわヒメ」および最優秀主題歌賞『キミのラプソディー』を生み出した功績があまりにも大きすぎた。

音楽アニメとしてのストーリーの良さ、メインキャラクター4人の関係性の尊さ、各バンドの楽曲の良さは特に光るものがあった。そして何と言っても"ほわヒメ"。ツンデレクール系とゆるふわ癒し系のカップリングはどう考えても最強で、百合と音楽の高い親和性も証明した。

あとは随所に細かい演出も光っていたように思う。例えばOP曲『ヒロメネス』は作詞ほわんで、ED曲『キミのラプソディー』は作詞ヒメコという、劇中だけでは語られないそれぞれの心情を楽曲の表記で浮かび上がらせる演出も良かった。

ルナティックおかわり(新TVシリーズ)にも期待。

 

『恋する小惑星

 夢や目標に真っ直ぐな少女たちの青春模様ほどキラキラ輝くものはない。そう思わせてくれた20年代最初のきららアニメ。

惑星、化石、地図、宇宙、気象... それぞれの"恋"する眼差しを描くことで、好きなものはバラバラでも、"好き"という想いで固く結ばれている地学部の絆が尊く映っていた。そんな5人の、互いの夢や目標に刺激され合う関係性もまた美しかった。

本作の鍵を握ったみらとあおの関係は、百合としての愛らしさも含みつつ、同棲展開も石垣島への同行も、あくまで夢の実現の"手段"として徹底されていたのが良かった。

日常系では珍しいほど作中の時間経過が早く、毎回一話あたりの情報量が多かったが、それでも詰め込み感を全く感じさせなかったのは何気にすごいと思う。

 

 

 

【技能賞】(脚本、演出、作画など技術面で光った作品)

『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』

個人的にVRMMOというジャンルが初体験で、普通のネトゲ作品との違いを序盤は掴めずにいたが、サリーちゃんの現実での高い身体能力がゲーム内でも武器になっていたのを見て、なんとなく面白さを理解できた気がする。

「ノンストレス大冒険」と謳われるように、主人公・メイプルちゃんの理不尽な強さに極振りしたストーリーは痛快。そんな緩めの作風とは打って変わり、もはや「やりたいこと」を作画が追い越してるような迫力満点の戦闘シーンが、作品の魅力をさらに高めていたように思う。

あとはメイプルちゃんとサリーちゃんの関係性。‪サリーちゃんの彼氏面に代表されるソフトな百合描写が最高に癒しだった。2期では永遠にイチャイチャしてて欲しいぞ。

 

『ID: INVADED』

自分がストーリーをきちんと理解できていればもっと高い評価だったはず。正直ラスト2話は何が起こってたのかよく分かってない。

こういったSFミステリ系は今まであまり触れてこなかったので、何もかもが新鮮に感じられて面白かった。脚本とか設定とか世界観とか用語とか、全てが綿密に練られてるのがシンプルにすごくて圧倒された。

俺の名前はオタク。大事なのは本堂町ちゃんが可愛いということ。

 

ドロヘドロ

これほど感想に困ったアニメは今までなかったかもしれない。

その独特すぎる世界観ゆえ、序盤は常に「?」が絶えなかったけど、その意味分からなさすら楽しめる魅力があったし、ホラーとギャグとバイオレンスのごった煮で生まれるカオスな味わいはだんだん癖になっていった。

その混沌とした世界観とは対照的に、ストーリーは「カイマンの正体は誰なのか」と軸がハッキリしていて見やすかった。血がドッバドバ出ても人がサックサク死んでも不快にならない作風も良かった。この人気ぶりから見るといつか2期もありそう。

 

 

 

【敢闘賞】(全体的に安定して高い満足度を誇った作品)

『群れなせ!シートン学園』

キャラクターの濃すぎる動物たちによるハイテンションな作風と、異種間同士の交流で群れを成していくハートフルさが好感触。動物の生態を活かしたギャグも面白かったし、終始一貫して楽しいアニメだった。身についた教養は「キリンの交尾はほとんどオス同士」ぐらいだけど。

OPとEDが限定販売だったのを除けば文句なし(3月31日時点、ようやくApple Musicで配信確認しました)。

 

『プランダラ』

異世界ファンタジー&バトルアクション&Wヒロインラブコメというオタクの好みの欲張りセット。

滑り出しこそ悪かったものの、リィン=メイちゃんの活躍で好感度は一気に上昇。ストーリーは最後にサプライズもあったりと、ありふれた作風と思わせてしっかり他作品と差別化できていた点が良かった。2クール構成前提でのアニメ化が上手くハマった印象。

また、スケベを前面に押し出すわりにパンチラ回避を徹底した点も個人的にポイント高い。この作品に対する信頼値(カウンター)は揺るぎないものとなった。

 

『へやキャン△』

3分で味わえるインスタントゆるキャン△。3分でもしっかりゆるキャン△してて面白かった。

 

 

 

【殊勲賞】(個人的に強いインパクトが残った作品)

『ネコぱら』

初回は日常系アニメに寛容な自分ですら真顔になるレベルの虚無だったが、その後は今期の癒し枠として頭角を現していった。8話や11話といったエピソードは素直に目が潤っちゃったし、日常系アニメとしてのポテンシャルの高さは随所に発揮した。

途中から「ネコはご存知ですよね?」と確認されなくなったせいで、作中で登場する猫耳の少女たちが一体なんなのか忘れそうになったけど、とりあえずみんな可愛かったのでヨシ!

 

『異種族レビュアーズ』

恐らくここ数年の深夜アニメでは最も攻めていたであろう内容や、MXおよびサンテレビでの放送中止など、いろんな意味で冬アニメを盛り上げてくれた。

男のロマンを刺激する内容はもちろん、視点を変えて異種族の多様性を引き出し、エロの可能性を追求する作風が見応えあった。

また、こういうインパクトの大きい作品はどうしても後半に飽きてきがちだけど、点数発表時の演出を毎回変えたりと飽きさせない作りになっており最後まで楽しめた。どう考えても風俗レビューだけで生計立てていきたいな。

 

 

 

選外

『虚構推理』

恐らくこのアニメ見た人のほぼ全員が思ってることだろうけど、鋼人七瀬の話が長すぎる。虚構に虚構で立ち向かう構図は斬新で面白かった。

 

『おーばーふろぉ』

今期の僧侶枠。ツンデレの方が可愛かった。「もしかしてお弁当にイカリング入れた?」で爆笑した。

 

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というわけで今期の金賞は『推し武道』『ちはやふる3』という結果に。『22/7』『ダーウィンズゲーム』『ましゅまいれっしゅ!!』など、放送前はあまり注目していなかった作品を最終的に好きになったのは印象的。個人的な嗜好でいえば百合成分のあるアニメが多くて楽しかった。

暗いニュースばかりで気が滅入るときだからこそ、来期も変わらずアニメを見てアニメを楽しんでアニメのことだけを考えていたい。就活?知らんわそんなもん

 

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