Kind's room

アニメの感想、考察など。

『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』2期 雑感

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2期、最高のアニメーションだった。

 

 

高咲侑と"あなた"

侑がどうして同好会にいるのか、同好会でやりたいこと/叶えたい夢は何か、そして1期1話から抱き始めた"トキメキ"とは何なのかを改めて問うことが、2期における侑のテーマだったように思う。

スクールアイドルのみんなを応援する(支える)だけじゃない、みんなと一緒に自分を表現したいから同好会にいるのだと、みんなと一緒に「今ここにいる私」を伝えたい、その気持ちこそ"トキメキ"なのだと。2期8話で出した答えと、それを体現した同好会10人のステージ、そして最終話の13人のステージは、本当に感無量だった。

たくさんの人に同好会を好きになってもらうことが、そのサポートができることが嬉しかった侑。でも今は、自分の表現したものを好きになってもらえて、たくさんの人にトキメキを与える存在になっている。ファンやマネージャーから、一人の表現者として夢へと走り出した侑のストーリーはとても美しかった。

スクールアイドルを応援し、応援される「あなた」の象徴だった侑は、その役目を、自分と同じように大好きなスクールアイドルに元気をもらい、自分の夢を追いかける次の「あなた」へと託す。そんな「高咲侑の物語」としての見方が、2期の要素のなかで最も強かったのではないかと思う。

面白そうな未来の待つ夢へと向かう歌である『NEO SKY, NEO MAP!』、生まれたトキメキに向かって走り出す歌である『TOKIMEKI Runners』などは、既存曲でありながら侑の作った曲として納得感しかなく、アニメ化の前から高咲侑は存在していて、同好会のメンバーであったのだと思わせてくれるのも嬉しかった。

 

「自分」を表現するためのユニット

一人ひとりが違う夢の色だからこそ、自分の好きなことをソロで自由に追求するのが同好会のスタンスで、それが虹ヶ咲1期の最大の魅力かつアイデンティティだった。しかし2期では、ユニットとして一つになることも描かれた。

同好会はかつて、方向性の違いから空中分解した経験があり、それがきっかけで各々がソロで活動する同好会の形になった。そのため、それぞれの色が混ざり合う(グループとして一つになる)展開は、多様性や自由を尊重してきた虹ヶ咲だけに、かなり挑戦的にも感じた。だが、むしろユニットを組んだことで、各メンバーが今まで以上に「自分」を表現できるようになっていた。

4人が一緒になって、それぞれが新しい自分を見つけられたQU4RTZ。2人がライバルとして競い合い、互いを刺激して自分を高められたDiverDiva。3人それぞれが型にハマることなく、自由すぎるくらいに自分を表現したA・ZU・NA。ユニットではあるが、それぞれ「自分の表現の可能性を広げるための手段」としてユニット活動を行っていたのが、あくまでソロ至上主義の虹ヶ咲らしくて良かった。

それでいて、ユニット活動を行ったことで同好会の絆も深まったのが2期は印象的だった。1期最終話の『夢がここから始まるよ』ではみんなバラバラの衣装を着ていたのが、2期最終話の『Future Parade』では全員が同じ衣装を着ていたところも、同好会の絆やまとまりが1期よりも強く感じられた2期を象徴していたと思う。

 

栞子・ミア・嵐珠の加入

ラブライブ!シリーズといえば「9人」というセオリーを崩す、追加メンバー3人の加入。それは虹ヶ咲がソロ主体だから実現できたというのもあるが、同好会という場所の特性も大きかったと思う。

できることだけでなく「やりたいこと」も大事にできるようになった栞子。目を背けていた「歌いたい気持ち」に再び向き合えたミア。自分の気持ちに正直になって同好会のみんなと「ライバルだけど友達」になれた嵐珠。

同好会はいろんなアイドルがいられる最高の場所であり、やりたい気持ちがあれば誰でも受け入れる場所であり、自分の望むものを叶えられる場所。多様性や自由を尊重し、門戸が開けている同好会だからこそ、スクールアイドルとして叶えたい夢があった3人を受け入れることもストーリーとして極めて自然だった。

それにしても、スクスタでは賛否両論だったらしい3人のエピソードも、アニメでは文句なしの素晴らしいものになっており、改めてアニガサキの脚本は優秀だと感じた。

 

仲間だけどライバル、ライバルだけど仲間

1期9話から確固たるものになった「仲間だけどライバル、ライバルだけど仲間」という同好会のスタンス。それは、メンバーそれぞれがソロとして同好会内で切磋琢磨しつつ、時には仲間として支え合うものだった。

そのスタンスは文化祭(フェス)を機に変化し始める。文化祭とフェスの同時開催を虹ヶ咲学園だけで行うのが困難になった際、東雲学院・藤黄学園・YG国際学園・紫苑女学院という仲間の協力により、5校による文化祭&フェスの合同開催という形で困難を乗り越えることができた。

フェスの当日も、東雲の日は近江姉妹、藤黄の日は姫乃×果林、YG国際の日はラクシャータ×エマが共演し、紫苑女学院のステージには歩夢・せつ菜・愛も参加するなど、学校を超えたコラボステージも見られ、学校間での仲間意識がより強くなっていた。

さらに12話では、同好会がラブライブ!に出場する他校のスクールアイドルを応援する光景、さらには同じ大会に出場し鎬を削ることになる学校同士でも支え合う光景が見られ、もはや「仲間だけどライバル、ライバルだけど仲間」の精神は、同好会だけのものではなく、同好会を中心としたスクールアイドルみんなのつながりを意味するものになっていたのだと感じられた。

 

各々の変化や成長と、時の流れの寂しさ

2期では各メンバーの変化や成長を感じられる場面が多く、特に顕著だったのが璃奈だったように思う。

QU4RTZの合宿を提案するなどユニットを引っ張ったり、1期では自分を支えてくれた愛を今度は励ましていたり、ミアの本当の気持ちに寄り添って手を差し伸べるなど、成長を感じられるシーンが多かった。最終話では璃奈ちゃんボードを外した素顔でステージに立ち、ファンのみんなと心をつなげていた光景は感慨深いものがあった。

あとは歩夢だろうか。1期11話が記憶に新しく、侑が自分から離れていくことをあんなに恐れていたのが、今では海外の顔も知らない誰かのために短期留学するなど、侑と進む道が分かれ距離が離れることを承知のうえで、スクールアイドルとしてどんどん先に進んでいた姿が印象的で、1期11話のインパクトが大きかっただけに著しい変化だった。まあ、侑としずくのデートをストーキングしたりもしてたが......。

それから、虹ヶ咲はラブライブ!という大会に出場してない分、他シリーズと比べて物語の明確なゴール地点が見えなかったこと、それに伴って「上級生の卒業」と「現体制でいられる残り時間」的なのを意識させることが今までなかったから、11話で物語としての終わりが初めて見えたことに、時の流れと寂しさを一気に感じることになった。

それだけに、彼方の「毎日イマを全力で楽しんでいけば、きっと寂しいだけじゃない未来が来てくれると思うよ」の言葉には救われたし、シリーズは違えど「いまが最高」の精神は根強く残っているのだと実感できた。

 

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2期は「高咲侑の物語」としての見方が強かったと思うし、エピソード単位でも、侑がネオスカを弾いた3話「sing! song! smile!」、同好会10人のステージでトキランを奏でた8話「虹が始まる場所」あたりは特に印象深い。ただ、単純に好きなエピソードでいえば、公式からの"供給"が豊富だった5話「開幕!ドリームランド↑↑(*'▽')」、ただただ楽しいだけの回だった10話「かすみん☆ワンダーツアー」あたりが挙げられる。

ユニットの結成や新メンバーの加入など、1期からの明確なストーリーの変化がありつつも、作品としての方向性は全くブレることなく、続編として高かった期待を超えてきた素晴らしい2期だったと思う。留学した歩夢のその後や3年組の卒業、R3BIRTHの曲の披露など、まだアニメとしてやり残してることもあると思うし、3期もしくは劇場版もやって欲しいと切実に思った。

9月に開催される5thライブも楽しみ。

 

 

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