Kind's room

アニメの感想、考察など。

2022春アニメ・格付け&総括

冬クールの総括がめちゃくちゃ遅れてしまったので、今期は早めに仕上げた(えらい)。

今期の完走は「8」本。1クールの完走本数が10本を下回るのは2020夏クール(9本)以来となった。これは今期が不作だったわけでは決してなく、この春の自分のコンディションが不調だったという個人的な理由である。

 

今回も評価はS+、S、A+、A、B、Cの六段階より。

S+:数年に1本クラス

S:年間トップクラス

A+:年間トップ10クラス

A:各クールの上位クラス

B:各クールの中位~下位

C:惰性で完走

 

それでは早速、2022春アニメを振り返っていく。

 

 

 

 

S+(数年に1本クラス)

該当なし

 

 

S(年間トップクラス)

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第2期』

2期は「高咲侑の物語」としての見方が最も強かったと思う。スクールアイドルのみんなを応援する(支える)だけじゃない、みんなと一緒に自分を表現したいから同好会にいるのだと、みんなと一緒に「今ここにいる私」を伝えたい、その気持ちこそ"トキメキ"なのだと。それを体現した8話の同好会10人のステージ、そして最終話の13人でのステージは、本当に感無量だった。

スクールアイドルを応援し、応援される「あなた」の象徴だった侑は、その役目を、自分と同じように大好きなスクールアイドルに元気をもらい、自分の夢を追いかける次の「あなた」へと託す。そんな「高咲侑の物語」が美しくてエモかった。

2期の変化としてはユニット活動もあった。それぞれの色が混ざり合う(グループとして一つになる)展開は、今まで多様性や自由を尊重してきた虹ヶ咲だけに、かなり挑戦的にも感じたが、むしろユニットを組んだことで、各メンバーが今まで以上に「自分」を表現できるようになっていたのが上手かった。

あとは栞子・ミア・嵐珠の加入。スクスタでは賛否両論だったらしい3人のエピソードも、アニメでは文句なしの素晴らしいものになっており、改めてアニガサキの脚本は優秀だと感じた。

ユニットの結成や新メンバーの加入など、1期からの明確なストーリーの変化がありつつも、作品としての方向性は全くブレることなく、続編として高かった期待を超えてきた素晴らしい2期だったと思う。留学した歩夢のその後や3年組の卒業、R3BIRTHの曲の披露など、まだアニメとしてやり残してることもあると思うし、3期もしくは劇場版もやって欲しいと切実に思った。

 

『BIRDIE WING -Golf Girls' Story-』

今期、いや今年最大のダークホースになったのではないか。本作の繰り出す面白さの弾丸にオタク心を撃ち抜かれてしまった。ダイナミックすぎる自動ゴルフコース生成システム、マフィア暗殺のため公道でぶっ放されるロケットランチャー、試合中に吹っ飛ぶ腕、意図的に聴覚や嗅覚などを遮断して驚異的な集中力を発揮させる『イン・ザ・ゾーン』など、ちょっとバカバカしささえ感じるエンタメ性と、スポ根アニメとしての熱さのバランスが上手かったと思う。

ゴルフ界随一のサラブレッドとして華々しい世界で活躍してきた葵と、アンダーグラウンドの世界において賭けゴルフで生き抜いてきたイヴ。本来なら交わることのなかった二人が運命的な出会いを果たし、良きライバルとして互いのゴルフに惹かれ合っていく青春ストーリーは、スポ根アニメとしても女女アニメとしても非常にアツいものがあった。

8話までのナフレス編と9話以降の日本編とで、別アニメかってくらい温度差があるのも面白ポイント。生きるか死ぬかの戦いで緊張感のある面白さだったナフレス編は、イヴが「生きるため」「家族を守るため」、そして「葵とまたゴルフをするため」に奮闘する姿がひたすらカッコ良かった。特に文字通り"命懸け"だったローズとの同門対決は痺れたし、その結末もドラマとしてはこれ以上ないものだった。

死人も出たナフレス編と同じアニメとは思えない平和な日本編は、もう一人の主役(?)であるイチナのおかげで楽しい雰囲気になっており、イヴと葵もずっとイチャイチャしてて眼福だった。まさか公式百合アニメにまで発展するとは。ライバルから相棒になった二人が挑むダブルス選手権も盛り上がってきて、スポ根アニメとしての熱量も戻ってきたところで2クール目へ。

ナフレス編だけでもすでに1クール分の充足感はあったし、日本編のストーリーもまだまだ見たいと思ってたから、本当に2クールあるのが嬉しい。来年もバーディーバーディー!

 

 

A+(年間トップ10クラス)

『であいもん』

人情味あふれる優しくて温かいストーリーと、舞台である京都が醸し出す"和"の雰囲気のおかげで、心安らぐ唯一無二の視聴体験を得られた。

特に一果がメインのエピソードは好きだった。和が初めて一果の父親代わりになれた3話、緑松で過ごす今の幸せを噛み締めていた6話、一果にとって和が父親のように手を離したくない存在になった12話あたりは、ED曲の歌詞も相まって心に沁みるものがあった。居なくなった父を探すのではなく、安心して待つことができるようになった一果の心境の変化を、1クールで丁寧に描いていたと思う。

そのハートフルなストーリーが描かれるのに京都という舞台は打って付けで、改めて京都っていいなって思えたし、放送中に軽く聖地巡礼も行ってきた。聖地巡礼したくなるアニメはいいアニメ。

 

『処刑少女の生きる道』

既存の異世界転生作品から一捻り加えた世界観で新鮮味があり、途中からは本格的にSF要素も絡んできてめちゃくちゃ面白くなった。

本作の最大の魅力はメノウとアカリの関係性だろう。表面上は仲睦まじい二人だが、メノウは処刑人としてアカリを殺すため、アカリはメノウに殺されるために旅を続ける。そんな歪で儚い関係性が百合として非常に映えていた。

メノウに自分を殺して欲しいから他の誰にも殺されない、何よりメノウを誰にも殺させないというアカリの覚悟と愛の重さ。清く正しく強い「悪人」としてアカリを殺すべきだが、アカリを特別に想う感情が切り離せないメノウの心の葛藤。この辺りの二人の感情の描き方が秀逸で、女女アニメとしての魅力を高めていた。

メノウとアカリの関係はどこから始まっていたのか、そしてメノウの選ぶ"生きる道"と二人の旅路はどこまでつながっているのか。今期見てたなかでは最も続きが気になるアニメだった。

 

 

A(各クールの上位クラス)

『阿波連さんははかれない』

シュールなギャグセンスが癖になる日常コメディから、思わず固唾を呑んで見守ってしまう上質なラブロマンスへの発展が見事としか言いようがなく、こんなに最初と最後で印象が違うラブコメは初めてかもしれない。

阿波連さんとライドウくんは、序盤から事実上の恋人みたいなキョリ感だったし、コメディとして現状維持でも十分に楽しめたと思うが、終盤にして恋愛感情にしっかりと踏み込んで、また違ったベクトルの面白さを見せたのが良かった。いい意味で当初の予想を裏切られた、本当に"はかれない"アニメだった。

 

パリピ孔明

三国志なんて全く知らないしタイトルにパリピって書いてあるし、視聴前は陰キャオタクの自分が楽しめるのかと不安だったが、3話あたりから徐々に適応してきて、気づいた頃にはもう身体がチキチキバンバンで心は気分上々↑↑になっていた。

中盤あたりでちょっと勢いが落ちた気もしたが、英子のシンデレラストーリーとしての魅力は最後まであったし、最終話の『DREAMER』の歌唱シーンはエモくて聴き惚れた。また、英子が孔明に一方的に支えられてきた物語に見えて、歌声で民の心を一つにする英子という存在に、争いのない平和な世界を願う孔明もまた救われていた部分があったのも良かった。

 

 

B(各クールの中位~下位)

『このヒーラー、めんどくさい』

第一印象はウザめんどくさいだけだったカーラが最後の方は可愛くて仕方なかったし、序盤はハマれなかったアルヴィンとの掛け合いも気づけば心地よさを感じられていて、回を重ねるごとに愛着が湧いた楽しいアニメだった。

個人的な話、この4月以降はメンタルが終わってる日が多かったのだが、そんな状態でも受け入れられる丁度いい面白さだったので、正直助かってた。こういう何も考えずにクスッと笑えるアニメが人生には必要。

 

『まちカドまぞく 2丁目』

1期よりストーリーが複雑になった分、正直よく分かってない部分も多かったのだが、2期も安心して見られる面白さだったのには違いない。

シャミ子の家の隣に桃とミカンが暮らし始めたことにより、リリスも含めた主要キャラ4人が一緒に居る時間が増えていたのが嬉しかったし、全体的に1期より賑やかだった気がする。

あとは闇堕ちした桃がめちゃくちゃ可愛かった。「これからはシャミ子が笑顔になれるだけの、ごくごく小さな街角だけを全力で守れたら」のシーン、やっぱりただの告白じゃない?

 

 

C(惰性で完走)

該当なし

 

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【S+】該当なし

【S】虹ヶ咲2期、バディゴル

【A+】であいもん、処刑少女

【A】阿波連さん、パリピ孔明

【B】このヒーラー、まぞく2丁目

【C】該当なし

 

今期は8本しか完走してないとはいえ、惰性で完走したアニメは0本。さらに年間トップクラスの【S】評価が2作品飛び出すなど、非常に満足度の高いクールになった。続編の『虹ヶ咲』はこのコンテンツを信頼してきて良かったと思える出来だったし、彗星のごとく現れたオリジナルアニメ『BIRDIE WING』には見事に撃ち抜かれた。

この春はあまり元気がなくて完走本数も少なくなったので、また余裕があれば途中で止まってる『CUE!』と『ヒーラー・ガール』、ディズニー+独占なので一応録画だけしてある『サマータイムレンダ』あたりも追いたい。

 

 

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