Kind's room

アニメの感想、考察など。

2017秋アニメ・格付け&総括

日増しに秋の深まりを感じる季節に始まった今期アニメが、2017年の終焉と共に終わりを迎え、いよいよ"アニメ納め"をしなければならない時期がやってきました。

というわけで早く来年及び来期アニメに魂を移すためにも、私が今期視聴した全20作品の格付けと作品ごとの総括をしていきたいと思います。

 

格付けの定義としては、

金賞:今期で最も総合的に優れた作品

銀賞:金賞に次ぐ優れた作品

銅賞:銀賞に次ぐ優れた作品

技能賞:脚本、演出、作画など随所に優れた技術を発揮した作品

敢闘賞:全体的に安定して高い完成度を誇った作品

殊勲賞:個人的に強いインパクトが残った作品

選外:惜しくも入賞を逃した作品

優勝:今期で最もエンターテイメント性に優れた作品

 

といった感じで独断と偏見で決めています。

 

それでは早速【金賞】から発表していきます。

 

 

金賞

Just Because!

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‪間違いなく今年一番ワクワクしながら見てたアニメでした。こういう純度100%の青春アニメが大好きなのもありますが、高3の冬という"別れ"の季節にあえて"出会い"を描くという新鮮な試みがまず良かったですね。高校生活の中で残された少ない期間に焦点を絞りつつスローペースで濃密に描くことで、各々の距離感の進展や心情の変化などが読み取りやすく、受験期特有のアンニュイな空気感なんかも直に感じられて、全体的に丁寧な作りで見やすかった印象です。1話の青春全開の雰囲気から既に心は掴まれてましたが、後半戦の7話からは毎週が神回のような面白さでした。泉と夏目の芸術的なまでのすれ違いに、小宮の健気すぎる姿勢に、相馬と森川のウブな関係に一体何度悶え死んだことか。泉×夏目×小宮の揺れ動く波乱の三角関係にドキドキハラハラしているところを、相馬×森川の足が地に着いた安心感ある関係で落ち着かせるような脚本も最高でした。作画の不安定さこそ否めなかったものの、考察が捗るようなエモい演出、印象に深く残るエモい台詞、エモみの極みのようなストーリーを前にすれば全然気にならなかったです。個人的には間違いなく今期、いや今年全体でも「一番面白かった」と胸を張って言える作品でした。2017年の最後に本当にいいアニメに出会えたと思います。‬

 

 

銀賞(2作品)

このはな綺譚

「あの世とこの世の間」という舞台設定を活かした幻想的で感動的なエピソードに酔いしれる時間は、毎週至福のひとときでした。1クールで四季を巡る日常系らしい物語でありながらも、ストーリーの構成力は日常系の域を凌駕するほどの秀逸さで、8話を筆頭に思わず唸ってしまうような美しく纏まったエピソードも多く、そんな心温まる話に可愛い女の子たちと上質な百合が華を添えた素晴らしい作品だったと思います。また、温泉宿という舞台設定上、当たり前のように入浴シーンを挟めるのもポイント高かったですね。個人的な今期のエピソード部門とOPED部門では二冠を達成。

 

いぬやしき

SF作品でありながらも設定がシンプルだったため、余計なことを気にせずにCGを駆使したド派手なアクション、意味不明なまでのチート能力、超展開すぎるストーリーなどを楽しめるのが最高でした。当初は胸糞悪い内容に心を痛めたり、主要キャラの演技やシュールな絵面に戸惑うこともありましたが、回を重ねるたびにそんな細かいことがどうでもよくなるぐらい面白くなっていきました。同じ場所で同じ機械の体を得た犬屋敷と獅子神が「正義」と「悪」という真逆の道を突き進みながらも、最終的に物語のテーマといえる「愛する人を守る」という目的で同じ運命に着地した展開は涙を誘いました。久しぶりにこれぞノイタミナって感じのアニメに出会えたと思います。

 

 

 

銅賞(2作品)

宝石の国

3DCGを駆使した圧巻の映像美や美しい世界観、宝石の特性を活かした味のあるキャラ設定、ド迫力のカメラワークで描かれる戦闘などはもちろん、落ちこぼれ主人公・フォスフォフィライトの断続的な”成長”過程や、シンシャとの約束で紡がれた”友情”を描いたストーリーも熱くて、どこを切り取っても惹かれる要素しかない高水準な作品だったと思います。全体的に見ると不完全燃焼感はありますが、それを差し引いても充分傑作の類でしょう

 

キノの旅

毎回深いテーマと感嘆のため息を洩らすようなオチが用意されており、一話完結のロードムービーとして安定感ある面白さでした。物騒な内容とは判して毎回しっとり締めることで生まれる”余韻”だったり、各国の画一的な登場人物たちが生み出す”狂気”なんかも魅力的で、全体を通して「価値観の相違」を美しいと思えるような良作だったと思います。個人的には『迷惑な国』『優しい国』あたりがお気に入り。

 

 

 

【技能賞】(2作品)

 アニメガタリズ

 ‪序盤の特に派手な展開もなく"アニメ語り"に徹するような作風が個人的に好きだったので、終盤はそれが薄れてきたのが残念でしたが、それでも回を重ねるごとにカオス度が増していく超展開は見てて楽しかったです。随所に挟まれる斬新な演出や鮮度が高いパロネタ、センス抜群のメタネタなども印象的でした。アニメ好きがアニメ好きの為だけに作ったような、隅から隅まで"アニメ愛"に溢れたいい‬作品に出会えたと思います。

 

少女終末旅行

 ‪荒廃した世界観とそこで繰り広げられる少女2人の緩い日常のミスマッチ感が新鮮で面白かったです。"絶望"を通り越した状況を彷徨い続ける2人の冒険譚に毎週時間を忘れて夢中になり、なおかつ哲学的なテーマで視聴者に何か訴えかけるような強いメッセージ性を感じられる"深い"作品でした。終末を直に感じられる圧巻の‬背景作画や2人のゆったりな旅に合わせた穏やかな劇伴、「雨だれの歌」などの特殊ED演出も物語をより魅力的にしていたと思います。

 

 

【敢闘賞】(6作品)

魔法使いの嫁(1クール目)

これぞファンタジーとばかりの幻想的で美しい世界観に誘ってくれるような高クオリティな作品で、空っぽだった少女がさまざまな出会いにより”心”を取り戻していくストーリーも温かく、人間と人外の不器用ながら堅い信頼関係で繋がれた恋愛模様なんかも見応えありました。個人的にはファンタジー成分が強すぎて細かい設定を把握しきれなかったのと、面白さの決定打になるような展開に欠けた印象も受けたので、2クール目はもっと面白くなることを期待してます。

 

3月のライオン(第2シリーズ1クール目)

 ‪いじめの話が出て内容的には重かったですが、その分、零が将棋に勝つ"意欲"を持ち始めたことでストーリーに今までにない熱さが生まれて面白かったです。ひなたのいじめ問題の解決は結局持ち越しとなりましたが、段階をすっ飛ばさず一段一段辿るような丁寧な脚本はこの作品らしいですね。やはり3月のライオンはシリアスになればなるほど面白さを発揮すると思います。また、零が人間としての成長を見せつつ今までで一番"主人公"してたのも印象的でした。‬

 

食戟のソーマ 餐ノ皿

2期以上に爆速で進行する展開に若干のもどかしさは感じましたが、それでも月饗際は純粋に熱く、セントラルが登場してからは物語に新たな風が吹いてどちらも面白かったです。特にセントラル編では、創真が過去最高に主人公の風格を漂わせたり、えりながヒロイン力を極めたりしたのも印象的でした。来年4月からの続編も楽しみです。ちなみに一番食べたいと思ったのは久我先輩の麻婆豆腐。

 

血界戦線 & BEYOND』

 ‪1期の内容を全然覚えてなかったので見るかどうか迷ってたんですが結局見て正解でした。ボンズか手がける大迫力かつ爽快なアクションやニューヨークの街を舞台にしたオシャレな雰囲気、基本的に一話完結で見やすいストーリーなど作品の魅力を再確認できました。バトル路線でありつつ、あくまでも「異常が通常の日常系」として2期も安定して面白かったです。特に10話のK・Kさん回がお気に入り。‬

 

 『魔法陣グルグル(2クール目)

 ‪1クール目から続く安心感やテンポの良さはそのまま、ラップ回やミュージカル回を筆頭とした独創的な演出、登場キャラが増えて賑やかさを増した冒険譚、ニケとククリの加熱するラブコメ、ギャグだけではない本気バトルなども印象的で2クール本当に安定して楽しめました。また、1クール目以上に"萌え"を押し出した作風だったので個人的に好感度が結構上がりました。ちなみにジュジュちゃんとプラナノちゃんが好き。‬

 

ネト充のススメ

ネトゲと現実が交錯した超運命的なラブコメとしても、恋愛に奥手なアラサー男女の不器用な恋愛物語としても面白かったです。現実社会で精神をすり減らされた30歳独身ニートが、ネトゲをきっかけとした様々な出会いの中で救われ、社会復帰に向けて重い扉を開けたという「人生再スタート」の物語を、全10話という限られた尺の中で綺麗に纏め上げていた印象を受けました。全体的に”優しさ”に満ちていた作風で見やすかったです。

 

 

【殊勲賞】 (2作品)

ラブライブ!サンシャイン!!(第2期)

 ‪作品に対する熱が結構冷めてたところはあったので1期に比べると真剣になれなかったのが率直な感想。それでも今までの「奇跡を起こす物語」が「軌跡を遺す物語」に変貌し、約束された有終の美へ繋げる展開はとにかく胸熱で、何より"輝き"を追い求めてきた道のりそのものを「輝き」として纏めた締め方が良かったです。ダイヤさん回やよしりこ回などの挿話、楽曲・ダンス共に高クオリティのライブシーンなんかは安定して素晴らしかったと思います。‬

 

 『つうかあ

 ‪期待してたような"青春スポ根"要素は皆無に等しかったですが、2人乗りのニーラーの特性である「信頼関係の権化」を活かし、友情や百合にスポットを当てたストーリーは、死と隣り合わせの危険な競技だからこそ"映える"モノがあって良かったと思います。走ってない実況ペアの話が一番面白いと感じるほど本筋はパッとしなかったものの、ニーラー‬×百合という秀逸な着眼点、キャットファイトに入浴シーンなど終始"平常運転"を貫いた姿勢等は評価したいですね。

 

 

【選外】(8作品)

URAHARA

 ‪放送前から何となく高いポテンシャルを感じて、結構期待しながら見てたんですが結局面白く感じることはありませんでした。掴み所のない超展開や原宿の舞台を活かしたポップかつ不思議な世界観、キャラの癖のある台詞回しなど魅力はそれなりにあって中盤までは素直に楽しめてましたが、中盤以降で過剰なシリアス展開に陥ってからは毒にも薬にもならなかったです。終始方向性こそ一貫してたものの、芯の通った登場人物が居なかったのは残念でした。‬

 

『Wake Up,Girls!新章』

 ※後日追記

 

王様ゲーム The Animation

 「高校生男女によるデスゲーム」という調理次第では最高に面白くなりそうな題材がありながらここまで駄作に仕上がるとは。絶望感にセンスのない命令や魅力的なキャラの少なさ、雑すぎて笑いさえ起きる死亡シーンなど残念な要素が主に目立ちましたが、それもエンターテイメントとして見れば充分楽しめました。こういう作品は1クールに1本は欠かせないのでその役割を担ってくれたという意味では評価できますし、里緒菜さんを輩出した功績に関しては大いに讃えたいです。

 

お酒は夫婦になってから

 "萌え"をトッピングしたワカコ酒って感じでたった3分でも毎週しふくぅぅ〜な時間を味あわせてくれました。思わず「このあと滅茶苦茶××した」と言いたくなるほどのイチャラブ模様は見てて結構死にたくなりますが。

 

 

優勝

僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件

 アニメ化にあたって作品名が変更されたという点のみで”庶民サンプル枠”としての期待を抱いていましたが、それを裏切らないエキサイティングなパフォーマンスを披露してくれて、端的に言うと最高。マシンガンの如く放たれる下ネタが個人的な好きどころを的確に撃ち抜いてきて、毎回見終わった後の賢者モード時のような脱力感が癖になりました。初回の出オチに留まることなく、むしろ回を重ねるごとに激しさが増していく驚異的な精力を発揮したのが、終始飽きずに楽しめた要因だと思います。 また、個人的な今期のヒロインランキングでは2人が選出されるなど、キャラクターをどんどん魅力的に描いていった”萌え”の手腕なんかも間違いなく本物でした。文句なしの秋アニメ単独優勝です。 

  

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 今期アニメを牽引してたのは『Just Because!』『このはな綺譚』『いぬやしき』の3本でした。また『キノの旅』『宝石の国』『魔法使いの嫁』『少女終末旅行』などの上質なファンタジー作品がクール全体の満足度を高め、『食戟のソーマ』『血界戦線』『3月のライオン』といった続編モノが安定してクオリティを維持し、『アニメガタリズ』『つうかあ』などのオリジナル作品も話題性が尽きなかった印象でどれも面白かったです。もちろんエンターテイメント的に盛り上げてくれた『しょびっち』『王様ゲーム』の活躍も今期を語る上では欠かせないですね。
魔法使いの嫁』『3月のライオン』は来期アニメに参戦し、『食戟のソーマ』も続編が決定しているので、この3作品は2017年秋アニメのプライドを背負って頑張ってきて欲しいですね。