『ワンエグ』特別編を見たあとでいろいろ考える-その1
ワンダーエッグ・プライオリティ特別編............
ワンエグ12話視聴後「なんもわからん...」
— カインド (@Buckingham0120) 2021年6月29日
ワンエグ特別編視聴後「なんもわからん...」
エンディングが終わったあと呆然としてしばらく身動きが取れなかった。
なんもわからんままこの作品とアディオスするのも嫌なので、わからんかったりモヤモヤしている部分を自分なりに整理してみて、そのうえで感想を吐き出してからワンエグと決着をつけたい。それが私のプライオリティ。
確実に分かっていること
- ワンエグの世界観にはパラレルワールドが存在する
- 大前提として自殺した子が「生き返る」ことはない
- 生き返るのではなく、パラレルから現実世界に同一人物を呼び寄せる(転生)
- パラレルが現実に干渉することで日常にノイズが発生する(記憶の齟齬など)
- ねいるは寿のつくったAIである
ねいるの夢
ねいるの夢(エッグ世界でのできごと)のシーン。ミッションコンプリートを成し遂げたねいるの前に現れたのは、ねいるを刺して自殺したアイルと、フリルが生んだ三体の謎の生物(ハイフン、ドット、キララ以下略)。この謎の生物は、アイのときもリカのときも桃恵のときも、生き返らせたい人が"転生"した際に現れ、攻撃してきた。リカと桃恵はお助けキャラであるワンダーアニマル(ペット)を召還し対抗したが、無念にも目の前で殺された。そのため、今回ねいるは「レディ(戻す)」と唱えて召喚しなかった。
そのねいるの判断にドットたちは「お前、バカ?仲間に聞かなかったのか、ペットを身代わりにすれば命は助かると」と告げた。この台詞から推察するに、ミッションコンプリートした(生き返らせたい人をパラレルから現実に呼び寄せた)代償には、エッグ世界から一人(一体)を減らす必要があるのではないか。一人増えると"帳尻合わせ"のために一人減らすというのはSFのセオリー的にも筋が通っている。その執行役を担うのがフリルの生んだ謎の生物たちだと考える*1。
その証拠に、桃恵がミッションコンプリートした際、生き返らせたかったハルカが転生した代償として、ペットのパニックを殺された。リカの場合は、生き返らせたかったちえみが転生した代償として、ペットのマンネンを殺された。
ではその後ねいるはどうなったのか。セオリー通りに行けば、ペットを身代わりにしなかったため、ねいる自身が"減る"対象となり、ドットたちに殺されるはず。実際そうなった可能性もなくはない。
が、しかし。フリルが現れて「私たちお友達になれると思うの」「あなたは私と同じだから、本当に望んでることも分かる」「私と友達になればなれるよ、人間に」と告げて、最終的にねいるがフリルに流されたような形でねいるの夢は終わった。
ここでいう「人間になる」とは何なのか、結局ねいるの命は助かったのか。いくらでも想像の余地がある分、見当すらつかないというのが正直なところ。ただ、特別編の冒頭でねいるが目を覚ますシーンがあるが、その眠ってる間に見ていた夢こそ、アイルやフリルが出てきた夢だったのではないか。
その夢により何かしらの決断をして、アイにネズミのアダム君を託し、バスでどこかへ旅立ったと考えると、時系列の辻褄が合う。ただ、夢の中のアイルの「残念だけどあなたの居場所はあっちにはないよ」や、フリルの「きっと妄想してたことがあるよね、でもそれは絶対に適わない。あなたの場所は、これでなくなったんだから」という台詞が引っ掛かる。
なぜねいるが現実世界に戻れば(生きて戻れるかはさておき)、居場所がなくなるのだろうか。アイルが転生したことで社長職が奪われ、会社の中での居場所を失うという意味だろうか。それとも、アイ・リカ・桃恵の記憶からねいるの存在が消えてなくなるという意味だろうか。いや後者だったらバスに乗る前にアイと会話してたり、その後もアイと電話がつながってることが矛盾してるし.........わからん。
なぜパラレルのアイは犠牲になったのか
先述した"帳尻合わせ"を踏まえて、特別編を見るまでは全く意味の分からなかった12話のシーンを考える。
キララロドリゲスマチュード18世宵の明星SSプラムの攻撃を受けて左目を失ったのは、ヘアピンから現実世界のアイと認識できるが、最終的に犠牲となったのはパラレルのアイだった。これは恐らく、パラレルのアイが現実世界のアイの身代わりとなって、キララ以下略からの攻撃を受けた(?)という描写がカットされていたのだろう。
現実世界のアイは、先述したねいると同じく、ミッションコンプリートして謎の生物が現れた際、ワンダーアニマルを「レディ」して戦わせなかった。しかし小糸ちゃんを復活させたいま、このエッグ世界では一人(一体)を減らす必要がある。つまり、この場にいるどちらかのアイが犠牲にならなければならない。
ここでおさらい。転生できる(正確にはパラレルから現実に呼び寄せられる)条件は、エッグ世界の戦士から「生き返らせたい」と願われ、戦士がミッションコンプリートすることである。なお例外として、生き返らせたい者がワンダーエッグの少女となるケース(9話の寿、12話のパラレルアイ)は、エッグ世界の戦士から「生き返らせたい」と願われ、戦士がトラウマの象徴であるワンダーキラーを倒すことで、転生の条件が成立する、と仮定する。
寿はねいる(エッグ世界の戦士)に生き返らせたいと願われ、エッグ世界にてトラウマの象徴であるドクター関を倒してもらい、現実世界で死んだことで、パラレルから現実に呼び寄せられた。転生の条件に当てはまる*2。
ではパラレルのアイはどうか。そもそもワンダーエッグの少女は、現実世界あるいはパラレル世界で自殺した子である。パラレルのアイが自殺し、偶然?にもワンダーエッグの少女として現実世界のアイと邂逅。現実のアイが本来生き返らせたかったのは小糸ちゃんであるが、パラレルのアイが自殺したと知り、こちらも生き返らせたいと願った。
パラレルのアイのワンダーキラーである沢木先生を倒したことで、転生の条件は整っていた*3。しかし、沢木先生を倒したタイミングでミッションコンプリート(小糸ちゃん転生)を迎えたため、このエッグ世界では一人(一体)を減らす必要があった。ワンダーアニマルを身代わりにしなかったため、どちらかのアイが犠牲にならなければならなかった。そして最終的には、パラレルのアイが実質ワンダーアニマルの代わりに犠牲になり、現実のアイを守った......と。
もちろん、パラレルのアイが身代わりにならず、現実のアイが犠牲になれば、それは現実世界でもアイが死んだことになったはず...。12話の当該シーンについて、パラレルのアイが犠牲になった経緯について、考えられるのはこんなところだろうか。
なぜねいるは大量にエッグを買っていたのか
時は遡って1話ラストの場面。アイが初めて会ったねいるはエッグを大量に買っており、アカたちにも心配されるほどだった。ただ、なぜ大量に買っていたかはその後は特に言及されていなかった気がする。もちろん、アイルのことを忘れようとすると呪いのように刺された傷跡が疼く、その疼きを早く止めたかったってのもあるだろうけど。
あえて深読みするならば、ねいるが生き返らせたかったのは、もとよりアイルと寿の二人だったのではないか。二人を生き返らせるために、二人分のエッグを買っていた。
植物状態の寿が死んだことでパラレルの寿が現実世界にやってきた、つまり転生する形となった。それは紛れもなく、エッグ世界の戦士であるねいるが「生き返らせたい」と願った結果である。
先ほども書いた転生の条件は大きく二つ。
① エッグ世界の戦士から「生き返らせたい」と願われ、戦士がミッションコンプリートすること(ハルカ、ちえみ、小糸、アイルのパターン)
② 「生き返らせたい」者がワンダーエッグの少女として登場した場合は、エッグ世界の戦士がトラウマの象徴であるワンダーキラーを倒すこと(寿、パラレルアイのパターン)
寿は②のパターンで転生した。転生できたということは、ねいるが「生き返らせたい」と願った結果である。アイルと同様に、寿にもそのような思いを最初から抱いていた。だから二人を助ける分のミッションをこなすため、エッグを大量に買っていたのではないか。
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『ワンエグ』特別編を見たあとでいろいろ考える-その1はここまで。
記事が思ったより長くなったのと、他の方の考察などを読んで考えが変わる可能性もあるので、一旦ここらで分割。ちなみにここまでは、他者の感想・考察に一切目を通さず自分の考えのみを吐き出しているが、正直いろいろ矛盾してたり、自分でも何を言ってるかよくわかんなくなってきている。それぐらいワンエグはわからん。
でも、真剣になりたい作品に関しては、自分の感想を紡ぐまで他者の感想をなるべく目に入れたくないという、オタクとしてのプライオリティがこっちにもあるので。
その2では「アイが電話に出なかった理由」「四人の関係性」「特別編の感想」「ワンエグ(作品)とはなんだったのか」などについて考える予定。記事が出来上がるかどうかは未定(早く夏アニメに突入させてくれ)(春アニメすら見終えてない)