Kind's room

アニメの感想、考察など。

2022冬アニメ・格付け&総括

4月に入ってから忙しくなり、5月に入ってからは元気がなくなり、気づけば6月。アニメの衣替えはとっくの昔に終わってしまった。でもやっぱり、総括を書き上げないと自分のなかでの「今期アニメ」は終わらないので、今さら2022冬アニメの振り返りをやっていく。

 

今期の完走は「13」本。3月までは無限に時間があったにも関わらず、これだけの完走に留まったということは、今の自分のキャパというか、アニメに対する熱量ではこの辺りが限度なんだろうなと。

 

今回も評価はS+、S、A+、A、B、Cの六段階より。

S+:数年に1本クラス

S:年間トップクラス

A+:年間トップ10クラス

A:各クールの上位クラス

B:各クールの中位~下位

C:惰性で完走

 

それでは早速、2022冬アニメを振り返っていく。

 

 

 

 

S+(数年に1本クラス)

該当なし

 

S(年間トップクラス)

『明日ちゃんのセーラー服』

文句なしの今期トップ。作画良しストーリー良しキャラクター良しのパーフェクトアニメーション。

この作品を語るうえで欠かせないのが主人公・明日小路の魅力。明るく元気な性格で人を惹きつける天性の素質があり、時にはその余りある好奇心をむき出しにして近づき、純粋な興味から仲良くなろうとする。そういった誰とでも同じ距離感・温度感で接する天然由来の陽キャなところが、誰にでも好かれる要因だったと思うし、一躍ハーレムアニメの主人公クラスの人気者になることにも説得力があった。明日ちゃんに限らず、蝋梅学園1年3組の総勢16人みんなキャラが立っていたのもすごかった。

学園ものらしい青春の輝きを感じさせる回は特に光っていた印象で、蛇森さんが『チェリー』を弾き語りするシーン(7話)、明日ちゃんの母校にクラスのみんなが集まるシーン(11話)、文化祭の回想を含めた長尺ダンスシーン(12話)あたりは、三大きらめきのセツナとして強く印象に残っている。

田舎の自然豊かな背景作画からリアリティの高い日常芝居、こだわりを感じるフェチ描写に至るまで抜かりがなく、第1話で見せた高水準なクオリティのまま最後まで駆け抜けたのも異常。この作品が深夜アニメの一つの転換期になったのではないか。

 

 

A+(年間トップ10クラス)

『スローループ』

ひよりと小春が「家族」になっていく物語、ひよりと恋ちゃんのいつもそばにいた「幼なじみ」としての物語、そして釣りを通して育まれた「3人の絆」の物語として、人間関係の深いところに踏み込むからこその面白さがあった。

釣りを題材とした日常系としての魅力もしっかりあり、初心者にもやさしい釣り描写はもちろん、個人的には料理&食事シーンが多かったのも日常系としてポイントが高かった。

辛い過去があったとしても、それでも笑っていられる未来を、そのための今の幸せを噛み締める、そんな作品の前向きなメッセージ性がとても沁みた。過去も未来も笑っちゃうような今がずっとここにありますように、なんだよな......

 

『錆喰いビスコ

キノコにカニに巨人となんでもありの強烈な世界観と、常に超スケールのド派手な展開で、1クールを爽快な面白さで駆け抜けていった。

ミロとビスコの強い絆がこの作品の肝で、互いに命を預け合っている相棒としての関係が常に熱いドラマを生んでいた。また、悪役の黒革も助演男優賞をあげたいくらい素晴らしい悪役で、彼の狂気的な執念深さがバトルシーンを面白くしていた。

9話のビスコの散り際がめちゃくちゃ良かったし、個人的にはあの回で作品の評価が一気に上がったから、その後のビスコ復活は正直なところ腹落ちはしていない。でも、面白さは最後まで錆びつかなかった(これが言いたかった!)。

 

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』

個人的には今期のダークホース。警察官の日常という題材上、普段の深夜アニメではお目にかかれない社会派のストーリーで、新鮮な面白さを味わえた。シリアスとギャグの塩梅も絶妙で見やすかった。

主人公・川合のキャラクターも非常に良く、警察官としての激務に翻弄されながらも、時にヤケクソになりながらも前向きに頑張る姿が、そのままこのアニメの好感度につながっていたと言っても過言ではない。

 

 

A(各クールの上位クラス)

『怪人開発部の黒井津さん』

悪の組織の裏側を描いたコメディだったが、めちゃくちゃ真面目にお仕事アニメをやっていた。突然実写のシーンが出てきたり、実在するローカルヒーローが登場するなど、アニメとして遊び心にもあふれていた。

黒井津さんをはじめとした登場人物も個性豊かで良かったし、途中からウルフ君が黒井津さんにデカい感情を持ち始めたのも本当にとても良かった。

球詠キャストが謎に多かったのはマジで何だったんだ。

 

『東京24区』

正義のための選択が異なるトロッコ問題がテーマだけあって、誰かの正義の選択が悲劇や犠牲を生んでしまうという「正しい答え」がないからこその、皮肉と葛藤が渦巻く人間模様は面白かったと思う。

ただ最終的には慌てて話を畳んだ印象があり、消化不良感が残った。1話がピークだったかもしれない。

 

『CUE!』

声優業界のシビアな面に触れたり、アフレコシーンを丁寧に描いたりなど、リアリティを求めるところは求める、でも登場人物はブレずに全力でアニメアニメしている、その辺りのメリハリがあって良かった。

1クール目はアフレコ組とユニット組に偏っていたので、2クール目はラジオ組と産廃組の活躍に期待。

 

『その着せ替え人形は恋をする』

『明日ちゃんのセーラー服』とともにドヨルCloverアワーを彩った、今期を語るうえでは欠かせない作品。

映像面では終始クオリティが高く、エンタメとして非常に楽しいアニメではあったけど、ラブコメとしては後半から興味が薄れていった。これは話がどうこうってより自分の感性の問題。

 

『リアデイルの大地にて』

のうきん,防振り,くまクマ熊ベアーの系統(主人公が男だったら絶対鼻につく展開も可愛い女の子だったらストレスフリーで見られる萌豚にやさしいアニメ枠)だった。

最初と最後あたりの比較的温厚でバブみすら感じられるケーナちゃん(とそれに比例するようなスローライフな作風)が好きだったけど、怒りの沸点がよく分からなくて周りをビクつかせるケーナさんもそれはそれで良かった。主人公の機嫌によって作品の雰囲気が左右されるアニメ、何?

 

 

B(各クールの中位~下位)

『賢者の弟子を名乗る賢者』

重要な初回で5分間のサイレント演出をぶち込む前衛的な導入にはワクワクしたが、その後は無難に異世界ファンタジーをやっていた印象。

結局ミラちゃんがかわいいこと以外に何も印象に残っていないけど、このアニメの楽しみ方はそれでいいんだって最終話ラストの台詞に全肯定された気がした。

 

『失格紋の最強賢者』

圧倒的なテンポ感と軽快なノリのおかげで終始ノンストレスで見られた。

世界最強の賢者で圧倒的に強いのに、可愛い女の子への耐性がなさすぎるというマティ君の立ち振る舞いが、この手の主人公としては新鮮で良かった。ヒロインは言わずもがな全員合格紋。

 

終末のハーレム

dアニメストアの無修正Ver.で見ていたので、映像がとてもクリアで良かった(何が?)。

近年稀にみる清々しい俺たたエンドではあったが、お色気一辺倒でなくディストピアとしての魅力もあり、最後まで飽きることはなかった。

 

 

C(惰性で完走)

『トライブナイン』

エクストリームベースボール(XB)とかいう面白スポーツをもっと真面目にやって欲しかった。

 

 

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【S+】該当なし

【S】明日ちゃん

【A+】スローループ、錆喰いビスコ、ハコヅメ

【A】黒井津さん、東京24区、CUE!、着せ恋、リアデイル

【B】賢でし、失格紋、終末のハーレム

【C】トライブナイン

 

このブログでは2021春クールの『スーパーカブ』以来、実に3クールぶりの【S】評価が飛び出す結果に。それぐらい今期は『明日ちゃんのセーラー服』が傑出していた。

そして土曜24時からの『着せ恋』→『明日ちゃん』のCloverWorksアワーも印象深く、今後2022冬アニメの話題が出た際には真っ先に思い出されるであろう贅沢な1時間であった。

『スローループ』と『錆喰いビスコ』は自分のなかで右肩上がりに評価を上げていき、一躍今期の上位となった。『ハコヅメ』『黒井津さん』『リアデイル』『CUE!』あたりは安定感のある面白さで視聴意欲は常に高く、あまり評価は伸びなかった『賢でし』『失格紋』なども肩の力を抜いて見れる良さがあった。

そして3ヶ月の延期を経て『エイティシックス』のラスト2話も放送されたが、これが抜群に良かった。正直2クール目以降はなかなか気が乗らなかったとはいえ、2クールやってきた価値を完璧に証明したラストには感無量だった。放送延期で数ヶ月寝かせたアニメは最終回の感動もひとしお。

 

それから個人的な話として、4月に入ってからちょっと元気がなくなっているため、春アニメの完走本数は少し減る可能性が高い(現状7本)。

それでも、アニメオタクとしての灯火だけは絶やさないよう、今日も少しでもアニメを見ていき、またこうやっていつもと変わらず総括を更新できるようにしていきたいと思う。